October 21, 2020

その道は一本 ~柔道が世界をつなぐ~ 井浦吉彦さん

アイスランド最古の柔道クラブである「アルマン柔道クラブ」で指導をする井浦吉彦さん。かつて講道館国際部に勤務し、中東やアジアを中心に年間13回~14回も海外で指導を行っていたという豊富な経験の持ち主です。「柔道は日本から発信された数少ない文化ですので、それを指導し普及させることを重く感じています。」と語る一方で、その指導方法については、「柔道も社会の一部なので、その社会や現地に暮らす人々を見つめて適応させることが大切です」と語ります。第8回は、「アイスランドでは、教わる側が主体で、教える側がそのサポート役に回るという感覚を気づかされました」と話すアイスランドの井浦さんにお話を伺いました。
 

――柔道を始めたときのことを教えてください。

10歳のとき、埼玉県の川口市にあった大道塾 宇佐美道場で始めました。それまでは相撲をやっていたのですが、その頃流行っていたマンガに柔道が出てきて、柔道もいいかなと思って、父親に道場に連れて行ってもらったのが始まりです。
高校時代は柔道部に入ったものの、何か新しいことをやってみたいと思い柔道部を辞めて、野球部に入部しました。ところが、やってみたら柔道のほうが自分に合っているということがわかりまして柔道部に再入部しました。そこからはずっと柔道ですね。

――東京教育大学(現 筑波大学)へ進学され、卒業と同時にアイスランドに渡られます。

私の学年が東京教育大学としての最後の学年で、私の次の年から筑波大学になるのですが、入学してくる人は、将来教員になりたいという人が多いんです。私も教職課程を取りました。ただ、教育実習中に参加した柔道大会で怪我をしたことや、自分が教員にあっているのかなという迷いも持ってたんですね。その時ちょうど、アイスランドで2年間指導されていた大学の先輩である村田直樹先生(前講道館図書資料部長/2020年4月逝去)の後任を探しているという話を耳にしましてね。外国に行ってみたいなぁと、素朴な思いを抱いたんです。それで当時、柔道部の顧問だった中村良三先生に薦めていただいて行くことになりました。アイスランドがどこにあるのかも知りませんでしたが(笑)。

――アイスランドではまず2年間指導されました。

最初は、なにしろ私は大学を卒業したばかりで経験がありませんから、習う方に申し訳ないなというくらいでした。それでこれじゃいけない、指導法を学ばなければならないと感じ、帰国後、筑波大学大学院に入りました。
大学院修了後には再びアイスランドに1年間行きまして、帰国後は国際交流基金の派遣でチュニジアに2年間行きました。帰ってきてからは、講道館の国際部で約4年半勤務しました。その時は、東南アジアや中近東やアフリカに指導に行かせていただきました。年間13回、14回くらい指導に行っており、時にはカルチャーショックを受けることもありましたが、指導そのものは非常にやりがいを感じていました。
その後は金沢大学に移り、アフリカなどへも行かせていただきました。