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【女子柔道振興委員会】JJ Voice No. 77 藤井 裕子さん

プロフィール
藤井 裕子(ふじい ゆうこ/旧姓:中野)1982年 愛知県生まれ
ブラジルオリンピック委員会、ブラジル柔道連盟男子代表チームコーディネーター
講道館柔道女子四段

主な戦績:
1997年 全国中学校大会 56kg級 準優勝
1999年 全国高校選手権大会 70kg級 第3位

指導歴:
2009~2012年 イギリスナショナルチームコーチ
2013~2018年 ブラジルナショナルチームコーチ
2018~2021年 ブラジル男子代表監督
2022年~ ブラジル男子代表チームコーディネーター

2月26日、晴天に導かれるように家族で近くの海へ向かう。到着するなり、8歳の息子はサーフボードを持って海に飛び込み、黙々と波乗りを続ける。4歳の娘は、その場で知り合った子どもたちと、砂遊びに没頭する。39歳の私はといえば、3人目の出産を6月に控え、大きくなったお腹でひらすら海に浮かび、身体が冷えれば太陽を浴びる。手軽に無料でできる、デトックスとエネルギー補給で心身を整える。

日本とは季節も時間も真逆なここ、ブラジル・リオデジャネイロで暮らし始めて9年近くが経とうとしている。
これだけ長く住んでいると、「これから海に行かない?」との急な誘いにも、気軽に乗ってくれる、家族ぐるみで付き合える気のおけない仲間も増えてきた。
子どもたちは全てこちらで生まれたので、「JAPACARIOCA」(JAPA/日本人、CARIOCA/生粋のリオっ子を合わせた造語)と呼ばれている。

振り返れば、今年で海外生活15年目になる。
柔道指導者として、それぞれのフェーズでそれぞれの学びがあった。簡単にではあるが、ここに記してみよう。

2007年〜2012年
イギリス、超下積み時代、自分を深く知るフェーズ
初めての海外生活で、カルチャーの違いと、自分のあまりの英語力の無さに、かなり落ち込む。
この暗黒な時代が、「自分の弱さと向き合う」という地味だが、かなり指導者として重要な時間を与えてくれた。
「弱い自分」払拭のため、英語の勉強と、とにかく場数を踏んでの指導スキルの上達にエネルギーを注ぐこととなった。
2010年からイギリスナショナルチームの一員として、技術面でのサポートに携わらせていただき、2012年でのロンドンオリンピックでの選手たちのメダル獲得に感涙。

2013年〜2018年
ブラジル、ナショナルチームの技術コーチ時代。
ある程度の自信をつけてきた自分なりの指導スキルが、独りよがりで小綺麗にまとまりのあるレッスンをする事に、いつのまにか偏っていたことに気付かされる。
選手それぞれが必要としていることを見極め、それに寄り添いレッスンを臨機応変に組み立てること、自分の教えたいことではなく、選手の課題解決に必要なことに焦点を当てることを学ぶ。つまりSelfishからSelflessへ本当の意味で移行できた気がする。
2016年のリオ五輪に向けては、国旗を胸につけて闘う選手たちと密な時を過ごさせてもらうことで、またしても自分の未熟さを思い知らされ、多くを学ばせてもらった。

2018年〜2021年
ブラジル柔道男子ナショナルチーム監督時代
ここで初めて、指導スキル云々ではなく、人を観る、チームを観るというところにたどり着いた気がする。監督としての役割はなんだったか、と問われれば、「チームの手入れ役」という回答が相応しいかと思っている。「選手も私も見たことのない世界へ、彼らをたどり着かせねばならない。」そのために、日々のダイアログは必須であったし、それぞれの選手を自立&自律できる人にするための働きかけや声かけを心がけた。

さらっと振り返ってみただけだが、多くの失敗が思い出され、同時に助けてくださった上司、スタッフ、選手の顔が次々に浮かぶ。
…どう考えても、素晴らしい出会いに恵まれ、人に活かされ、育てられ、気がついたら今の位置にたどり着いていたとしか言いようがない。自分側が何か頑張ったことは、と考えると、…実は何もない。強いて言うならば、目の前のやるべき事に必死になったことと、いただいたチャンスは、ありがたく頂戴してきたこと、そんなところだろうか。

現在は同チームのコーディネーターとして、2024年までの契約で携わらせてもらっている。選手とチームを観るだけでなく、次世代の指導者へのお手伝いや、若手からの一環育成システムの改善など、クリエイティブに尽力していきたいと思っている。私が与えてもらったような、「人材が育つ環境」を提供する側に近づいているのかと思うと、嬉しいし、ありがたい。そして、海外でのお仕事は、これを最後にしようとも思っている。ネガティヴな感情からではなく、「終わりを決める事で、今を充実させる。」というポジティブな思いからの決意である。

そんな事をボーッと海を眺めながら考えていたら、太陽に焼かれた肌に痛みを覚え、現実へと引き戻された。
季節や時間のみならず、あらゆる事が日本と真逆のリオデジャネイロでは、これから1週間ほど、カーニバル休みに入る。最近ようやく2ヶ月にわたる休暇が終わり学校が始まったばかりなのに、またお休み。ほぼ夫に任せっきりの親業、私も頑張りましょうかね…あまり手を出さないでくれ、と言われそうだが…。

子どもたちと。
地元のサッカークラブに所属する息子、州優勝を決めた日。(母不在が多いため、ビッグイベントにはほとんど同行できず…。)
ブラジル男子代表練習風景
ブラジル男子代表集合写真

次回は、藤井さんの大学柔道部の後輩にあたる秋山日向子さんが登場します。

2024年アブダビ世界選手権大会

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