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【女子柔道振興委員会】JJ Voice No.20 髙田 知穂さん

プロフィール

髙田 知穂(たかだ ちほ)1991年熊本県生まれ
郵便局契約社員(元自衛隊体育学校)
講道館柔道女子参段

主な戦績:

2010年 全日本ジュニア柔道体重別選手権大会 48㎏級 ベスト8
2013年 関東学生柔道体重別選手権大会 52㎏級 優勝
2014年 防衛大臣杯全国自衛隊柔道大会 57㎏級 優勝

今回このような素晴らしい企画に参加させていただき大変光栄に思っております。前回執筆された平井希先輩には自衛隊体育学校でお世話になりました。大変恐縮ですが先輩方に続いて執筆をさせていただけることを嬉しく思います。
私は2019年6月から柔道指導のためサウジアラビアへ行っていました。そこで、柔道を通して培った“挑戦し続けること”について少し書かせていただきます。私は柔道が弱く、現役選手時代に良い成績を残せなかったのですが幸運なことに25歳まで強豪チームの一員として柔道に専念できる環境で練習ができていました。現役選手を退いた後、一般の自衛官として働いていたのですが、そのような中「サウジアラビアでの柔道指導に興味はないか」と自衛隊体育学校の池田ひとみコーチから連絡をいただき、ました。海外に興味があった当時の私にはとても魅力的な話であり、サウジアラビアへ行くことがトントンと決まりました。今年6月、コロナパンデミックの影響により志半ばでサウジアラビア柔道連盟との契約が終了し帰国しました。現在は地元に戻り、郵便局の契約社員として働いています。
サウジアラビアに渡航する前の私は恥ずかしながらサウジアラビアのことについて何も知識がありませんでした。色々調べてみると国家の宗教がイスラム教で1日に5回お祈りをして、女性は家族や同性以外の前では布で体や髪、顔を覆わなければならなくて、女性の自動車の運転が最近解禁されて…と日本人にとっては想像もできないような未知の世界でした。そんな別世界に飛び込むことにすごくドキドキしていました。実際現地に入ってみると見るものや聞くものなど新しいことばかりですごく新鮮でした。しかし、やはりアバヤ(体を覆う布)を着用しなければならなかったり、レストランでは外から見えないように女性は仕切りがあるところで食事しなければならなかったり、男女で握手をすることすら普通ではなかったり、生活しづらいと感じることはたくさんありました。柔道や体を動かすという面でも、昨年までサウジアラビアの女性は学校での体育の授業がなかったためか、選手に思うように伝わらなかったりして苦労しました。また、アバヤ以外の姿で家族や同性以外の前に出ることはサウジアラビアの女性にとっては難しく、公式の大会に出場できる選手は少人数で中には公式の大会に出場したくてもできない選手もいました(本人の意思で公式の大会に出場しないと決めている選手がほとんど)。このように日本にいるときには味わえないようなことを経験しました。生活面においては、身近にいる選手たちとたくさん話し、頼ることで生活しやすくなりました。近くにある美味しいレストランからサウジアラビアの女性が置かれている立場まで、選手との会話の中から徐々にサウジアラビアという国を理解していきました。いわゆる普通のコーチと選手の関係ではなかったと思いますがお互いが支え合って柔道ができることは素晴らしいことだと思っています。
“ただ勝つためだけに柔道を頑張る”だけではいかないのがサウジアラビアの女子柔道の現状です。そもそも、公式の試合に出場するサウジアラビアの女子選手が少なく、何を目標に柔道を行っているのかも人それぞれ違います。選手の中には公式の試合に出場したいけれど父親に反対されている選手もいました。その選手はもちろん勝つために練習をしているけれど、それ以前に自分の努力をお父さんに認めてもらい、公式の試合に出場することに賛成してもらうために頑張っていました。チームの練習時間とその選手の予定が合わない日には、私にトレーニングを手伝って欲しいとお願いしてきたため、個人レッスンのような形でトレーニング指導を行う時もありました。
まだまだサウジアラビアでは女性が様々な制限を受けていることが多いのですが、少しずつ変化してきています。例えば、近年女性の自動車の運転が解禁になったことや、親族の男性の許可なしで女性が海外旅行をできるようになったこと、さらには、女性の就業率が年々上昇してきていることや、女性のスポーツが盛んになってきていることなど、サウジアラビア政府の後押しによって女性の権利が拡大しています。もちろん、中には女性の運転は危ない、女性は家事や育児に専念すべきだ、という考えが根強く残っているのも事実です。
しかし、そのような政府の後押しがあるからこそ、私の周りにいる若い女性たちは希望を持っていました。女友達だけで海外旅行に行きたい、男女が一緒に働いている職場でリーダーになりたい、IJFの試合に出て勝ちたいなどたくさんの希望に溢れていました。今までは考えられなかったことが、少し勇気を出せば実現できるのが今置かれているサウジアラビアの女性の現状だと思います。そのような意味では、私は今後のサウジアラビアの女性や女子柔道に可能性を感じています。
今、世界中が難局に直面し不安な状況が続いていますが、この状況が回復したならまたサウジアラビアで柔道を教えたいという思いがあります。今は自分の幅を広げる期間だと思い、柔道のトレーニング方法や技術、英語、アラビア語、宗教について少しずつですが学んでいます。
こうしてまたサウジアラビアで柔道を教えたいと思えることは現地での人との出会いや、温かく私を受け入れサポートしてくれた人々のおかげです。柔道を通しての出会いが私を強くしてくれています。まだまだ経験不足で学ぶべきことが山ほどあるのでこれからも前向きに挑戦し続けていきます!
世界的にも不安な状況が続いておりますが頑張りましょう!

初めてサウジアラビラアに到着した際、空港で出迎えて下さった同国柔道連盟副会長のナビールさんと

 

次回は、髙田知穂さんの山梨学院大学時代の先輩にあたる、
山部佳苗さんが登場します。

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