September 18, 2020

【女子柔道振興委員会】JJ Voice No.7 カリウ・佐々木光さん

プロフィール
カリウ・佐々木 光(かりう・ささき ひかり)1967年静岡県生まれ
秀鋭館師範 講道館柔道女子七段
主な戦績:
 1987年 世界選手権大会 (エッセン)66㎏級 3位
 1988年 ソウルオリンピック 66kg級 金メダル
 1989年 世界選手権大会(ベオグラード)66㎏級 2位

 2008年4月11日、40歳でフランスブルターニュへ移り住み、早いもので12年が経ちました。
 私は14歳から近所の友愛道場で柔道を始め、市立沼津高校、筑波大学を経てミキハウスへ就職し27歳まで全日本女子の強化選手として、家族はもちろん素晴らしい指導者と多くの仲間に支えられ充実した日々を過ごさせてもらいました。
 その後、柔道を通して人を育てる仕事がしたく教員の道へ進みますが、生徒の尻を叩きながら育てている自分自身に矛盾を感じ再婚を機にフランスへ移り住むことを決めました。
 フランス語が全く話せない、読めない、書けない…。残念ながら資格社会のフランスで私の様な外国人がまともにお金を稼げる仕事があるわけではありませんでした。しかし、大学で柔道を専攻し学んだ全ての教科や教員資格、教員歴、オリンピックや世界選手権の結果等々が考慮され運良くもフランス政府の柔道指導者の国家資格を取得し、この国で正式な柔道指導者として仕事をすることが許されました。
 渡仏して4カ月後、私は幾つかの道場で雇われることが決まりました。その中の一つの道場で週に一度の女子のクラスを立ち上げました。それは、当時アメリカのサンフランシスコに在住していた福田敬子先生の影響を強く受けたからです。柔道を競技としてだけでなく、健康増進と人生の励みにつながる女性の生涯スポーツの様なものに結び付けたかったからです。また、子どもを道場に通わせるお母さん方の中に、柔道をやってみたいが投げられるのが怖いので女性同士だったらと言う声をもらったからです。私がこの女子のクラスで主にやったのは、受け身と基本的な技の反復練習、そして柔の形です。受け身を徹底してやった理由には、ケガ防止はもちろん恐怖心を取り除き柔道を長く続けてもらうためです。また、柔の形は動きが美しいとフランス人女性に大変人気があり、受け身をしなくても良い事と稽古の最後の柔軟体操にもなると喜ばれました。
 今の私の夢は自分の道場を建てる事です。雇われ指導者で10年、日本とは全く違う柔道の指導法をゼロから学び色々な道場で下積みをさせてもらいました。そして、自分の道場「秀鋭館」を立ち上げて2年、仮住まいの道場から自宅の庭に小さな道場を建てる事が今の私の夢です。将来は世界を目指す柔道家の後押しはもちろん、高齢者も幼児を抱える主婦もハンディキャップを持った方も、全ての人が集える場所をここで提供して行きたいと考えています。今自分に出来る事、今自分がすべき事を精一杯、今日も明日も明後日も自分自身に問いかけながら常に夢を描いて今後も生きて行きたいと思っています。

ご主人のカリウ・イヴマリさん、息子の
琢磨君(当時3歳)と共に(2012年)
福田敬子先生を囲んで
(2008年サンフランシスコ)

次回は、カリウ・佐々木光さんが、大分県にいた当時に指導した
穴井さやかさんが登場します。