【女子柔道振興委員会】JJ Voice No. 79　山田　美咲さん

この度、JICA海外協力隊（以下　協力隊と省略します）時代の先輩である、秋山日向子さんからJJ Voiceのバトンを頂き、この様な素晴らしい企画に参加させていただけることに感謝しております。

まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。私が柔道を始めたのは10歳の頃でした。それまでは、体育の授業は大の苦手、身体を動かすよりも、歌う事や食べる事が大好きで、将来の夢は「モーニング娘。に入る事」でした。その頃、妹が習っていた柔道教室に母と迎えに行った時、女性の先生が指導されている姿を見て衝撃を受けました。「かっこいい。私もあの先生のようになりたい！」と思ったのがきっかけで、地元のダイコロ少年柔道教室に通い始めました。それからは、長尾中学校、星翔高校、龍谷大学と柔道中心の日々を送っていました。将来の夢もいつの間にか「柔道で日本一になること」に変わっていました。学生時代、突然ぽきっと心が折れてしまったこともありましたが、周りの方々に支えられ再び立ち上がることができました。

大学卒業後は、これまで多くの経験をさせてくれた柔道に恩返しがしたい、活動を通して柔道を世界に伝えたい、また、海外で更に経験を積んで人間的に成長したいという思いから、協力隊に応募しました。当時の気持ちはとにかく前しか向いておらず、両親の許可も得ず勝手にネパール行きを決意しました。（今思うと、一言「行っても良い？」くらいは聞くべきだったかなと思います。）ネパールでは、ナショナルチームの指導補助や、孤児院柔道、町道場、視覚障がい柔道、聴覚障がい柔道の巡回指導、ジュニア選手育成等の活動を行いました。２年間頑張ってきます、と強い決意のもと出発したものの、活動8ヶ月目で、「新型コロナウイルスの影響による帰国指示」が出され、緊急帰国を余儀なくされました。心をネパールに残して、身体だけが日本に帰ってきたような不思議な感覚で時間だけが過ぎていきました。

その頃、柔道隊員OBOGオンライン座談会に参加させて頂き、「道衣を着て組み合う事だけが柔道ではない、柔道とは人生を工夫することである」と言う言葉を聞きました。やっと自分の身体に心が戻ってきたような感覚になりました。それからは、出身道場を拠点に国内活動をさせて頂き、ネパールと日本を繋ぐコロナ禍ならではの国際交流イベントも行うことができました。

現在は、ネパールでの生活で気付かされた英語の重要性、自分の英語力向上のため、アメリカ・イリノイ州のシカゴという街で、住み込みベビーシッターとして働きながら、語学留学中です。子どもを育てることの大変さを目の当たりにし、世界中のお父さん、お母さんの偉大さを実感しています。そして、今住んでいるところの近所に柔道教室があり、ここでも素敵な柔道家の方々との出会いがありました。コロナ禍での海外留学は、周囲からは驚かれましたが、私にとっては必要不可欠な経験であり、視点を変えてみるとこの時代でも不可能ではありませんでした。今後も一柔道家として人生を工夫しながら、My柔の道を歩んでいきたいと思います。

次回は、シンガポールで指導者として活躍している野田亜海さんが登場します。