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スペイン派遣日本武道代表団報告(07.2.8)

スペイン派遣日本武道代表団報告

代表 貝瀬 輝夫

1 はじめに

平成18年(2006年)11月22日から11月28日までの間、スペインのサラマンカ市で開催される「第31回ジャパンウイーク2006年スペイン・サ ラマンカ」へ、日本武道の神髄を演武披露するとともに、現地武道修行者との指導稽古等を行い、武道を通じて国際親善に寄与することを目的として日本武道団 が派遣されたので、その概要を報告する。

2 団の編成等

団長は高村正彦元外務大臣。種目は、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道の現代武道九道と、竹生島流棒術および立身流 の古武道二流派の計11団体、演武者総勢66名で構成された。柔道団は全日本柔道連盟・講道館の推薦をいただき、次の6名が派遣された。

団 長  貝瀬 輝夫(講道館)
副団長  正司 直樹(山口県警察)
団 員  近藤 秀作(NEXCO東日本高速道路株式会社)
団 員  平  智哉(大阪府警察)
団 員  南波 利治(島根県警察)
団 員  相原 大樹(旭化成)

3 団の活動概要

21日(火)午後3時に講道館本館5階の全日本柔道連盟事務局に集合、津沢寿志事務局長、藤田真郎国際委員長から派遣に当たっての激励並びに留意事項等 説明を受けた後、早速、演武内容に関する事前打合せ会を行うこととなった。まず過去の演武状況のビデオを参考に見せていただき、その後、場所を講道館新館 6階国際部道場に移動、全員が柔道衣に着替えて柔道デモンストレーションの内容の検討を行った。柔道の演武時間は8分。私が予め考えた演技項目に、団員そ れぞれが得意技を当てはめて行ってみると、約2分オーバー。削りながら何度も通しで試みて、やっと時間内に収まったのは午後6時。後は現地で調整すること として、講道館での演武予行演習を終えた。

翌22日(水)午前10時15分成田第2ターミナルへ全武道団集合、チェックイン。午前11時5分から団結式・壮行会が行われた。まず井上裕日本武道館 常任理事が「73人全員が揃ったのは武道人として体を節制している証拠。武道を通して国際交流、親善をしてきていただきたい」と壮行のことばがあり、続い て高村団長が「平素の修練を発揮して、超一流の武道を見せることにより、尊敬され評価される。それが国際親善につながる」とご挨拶。乾杯後、各武道の紹介 へと進行したが、第1番目が柔道団。団長の私から一人ずつ名前を呼ばれ、立ち上がって礼、全武道団員の顔合わせとなった。
出発は成田発午後1時30分。ドイツ・フランクフルト経由でスペイン・マドリッド空港に22日午後9時46分(日本時間23日午前5時46分。日本との時 差8時間遅れ)到着。ゲートを出たところでサラマンカ市側から武道団歓迎の花束贈呈があり、柔道の団長である私が代表として受領した。その後、雨の中サラ マンカ市に向けて出発、エンペラトリスIIIホテルには23日午前1時30分(日本時間23日午前9時30分)着。
サラマンカはスペインの首都マドリッドから北西約200キロメートル。バスで約2時間30分(高速道路利用)。標高800メートル。1218年スペイン最 古のサラマンカ大学が創設され学生の街として有名で、人口18万人のうち学生数約4万人。産業は農業中心で、小麦、トウモロコシ、サトウ大根、豆等が主な 産物である。

23日(木)の午前中はサラマンカ大学等市内視察、午後はマヨール広場近くのレストランでサラマンカ市長主催の歓迎昼食会が開かれた。昼食会が始まった のは午後2時30分、日本のステーキを3枚重ねたような巨大ステーキ等をゆっくり時間を掛けて食べて昼食会終了は午後4時45分。午後8時過ぎに散歩を兼 ね歩いて約10分のショッピングモールへ行くが、さすがに昼食の量と時間帯の影響で、誰も夕食を食べようとしなかった。唯一、相原選手がマクドナルドを持 ち帰って食べたが、その量も日本の2倍位あり食べきれなかったらしい。スペイン人はいつ夕食を取るのだろうかと考えながらホテルまで帰るも、まだ満腹状態 であった。

24日(金)当初交流稽古が予定されていたが、スペイン柔道連盟と調整が付かず見送られることとなった。団員は体を持てあまし気味であったが、日本のよ うに近くの柔道場で一汗と言うわけにはいかない。サラマンカまで来てホテルの一室に籠もっているわけにもいかない。6人の意見がまとまり、ツアーによる歴 史探訪に出かけることにした。スペインは5世紀までローマ帝国、8世紀始めまで西ゴート王国による両キリスト教支配、711年北アフリカからイスラム勢力 による支配、1492年キリスト教徒の国土回復運動(レコンキスタ)による領土統一の歴史がある。南北からの交互の統治時代を経て人種、建築、言語、文化 で様々な融合を重ねた国である。言語では4000ものアラビア語が残っているそうだ。建築様式もイスラム時代の建造物がそのまま使われている。国民、地域 住民の気質を知るためには歴史を学べと言われる意味が理解できる。また、道中にて我が柔道チームの様々な情報を入手することができた。近藤団員は一週間前 の17日、18日に韓国国際大会に出場したばかり。その他、平団員は全日本柔道選手権、南波団員は国体、相原団員は全日本実業柔道個人選手権大会等にそれ ぞれ本年出場している。平、南波、相原団員は29歳の同級生。近藤団員は三人より一つ年上。同世代としてしのぎを削った仲である。過去の戦績は説明するま でもないが、団員全員が現役選手と知りこれまた頼もしい。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」、スペインの国情、国民性を知り自軍の戦力を分析できたこ とから、明日の演武、指導の成功を確信したが、詰めを誤ってはならない。午後6時ホテルの一室に集まり、演技の細部チェックを行い、万全を期した。

25日(土)午前9時ホテル発。午前9時15分サンチェス・パライソ多目的ホールに到着。午前中は各部の交流稽古が行われることとなっている。柔道の交 流稽古は午前11時から午後12時30分までの1時間30分。それまでに現場の感覚を掴むため、会場内で演武の最終調整を実施した。
午前11時、各出入り口から柔道衣を着た少年、成年が続々と入場し、見る見る畳は柔道衣姿で一杯になった。総勢約150人。それを見ていた日本旅行添乗員 も「スペインは柔道人口多いんですね」と驚いた様子だった。指導は受身の後、近藤選手の背負投、平選手の送足払、南波選手の内股、相原選手の大外刈と説 明。ペアをつくって実際に技を掛けさせてみる。それを6人が手分けして身振り手振りで技術指導をする。途中、スペインの国旗を胸に付けたナショナルチーム 6人も参加し、交流稽古を盛り上げた。一通りの指導をした後、立技の交流稽古を行った。ナショナルチームもせっかくのチャンスとばかりに団員に掛かってい く。しかし、さすがに選抜された現役選手である。日本柔道の技と力を十分に披露してくれた。双方の熱意で時間を少々オーバーしたが、スペイン柔道選手の満 足度は汗で光る顔によく現れていた。
午後2時20分から演武会のリハーサル。午後4時50分から入場、開会式。各道の紹介、両国国歌斉唱、高村団長、スペイン側理事の挨拶に始まり、順次演武 が開始された。各部の技が決まるごとに大きな歓声が上がる。柔道の演武は第5番目。午後6時過ぎ竹生島流棒術の後に行われた。受身、打ち込み、投技の紹 介、投技の連絡変化、固技、試合稽古と進み、各自持てる技能を出し切り、大声援、拍手喝采のうちに演技を終えた。ところがここでハプニング。現地の打ち合 わせでは演武終了後退場のはずだったが、ちびっ子が入場。急遽、体験柔道を行うこととなった。まず、後受身、横受身を体験させた後、背負投を指導する。ち びっ子が我々6人の大男をバッタ、バッタ投げるとあって、4000人の観衆は沸きに沸いた。
11番目の演武の相撲を終え、閉会式。司会者が各道の演武を賞賛した時、大拍手が起こり、鳴り止むまで当分の間、次の言葉を発せられない状態であった。
閉会式終了後、全種目の体験ワークショップが行われた。柔道は午後7時30分から約30分。道場を合気道と半分に分けて実施。子供中心に大外刈を指導後、 団員6人がもと立ちになり、子供に実際の投げを体験させる。6列になった子供たちが何度も挑んでくる。子供も一生懸命だが、見ている親の方が夢中になり大 声で応援。体育館全体が熱狂的に盛り上がり、耳を近づけて大声で話さなければ会話ができない状態であった。全ての種目が終了したのが午後8時20分。高村 団長の帰国が1日早まったことから日程を変更して、ホテルに帰って午後9時30分から解団式を行った。
高村団長が「集まった4000人のスペイン・サラマンカ市民に日本武道の神髄を見せることができた。また、武道体験等を通じて日本との親善、交流を深める ことができた」と挨拶。吉井元偉在スペイン大使が「10月に着任して初めての大仕事であったが、大盛況で幸先良いスタートになった」と挨拶。各テーブルと も達成感と安堵感からか、式も大いに盛り上がった。2時間に及んだ会の締め括りに、柔道チームの私が指名され挨拶を一言。「好きな言葉に一期一会がある。 この様な出会いを大切にしたい。また、柔道の団員を見ていると今までは試合に勝つことしか考えていなかったが、この機会を通じて柔道の指導法や普及・発展 の重要さに目覚め、柔道を通しての国際交流に喜びを感じるようになったようであり、大きな収穫となった」と駄弁を呈し、スペイン派遣日本武道団演武の幕は 降ろされた。

26日(日)陸路マドリッドへ。

27日(月)ロンドン経由成田へ。

28日(火)午後3時36分成田空港着。

帰路「柔道は一度練習しただけで友達になれますね」という会話になった。組み合い、技を掛け合うことで、言葉、文化の違いを越えて通じるものがある。こ の度の交流稽古、体験会では多くのスペイン選手、子供達と美しい汗の一滴を競い合うことができた。また、4000人の市民へ演武披露することで、異文化交 流の架け橋の一端を担うことができたと思う。今さらのように、柔道の国際親善における役割、「日本伝講道館柔道」の意義を学ぶことができたように思う。

4 おわりに

未踏の地スペイン・サラマンカでこの様な交流の機会をつくっていただいた全日本柔道連盟、講道館、日本武道館関係各位に、この場を借りて感謝申し上げ、スペイン派遣武道団(柔道)の報告とします。

写真

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サマランカ市長主催歓迎昼食会

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マドリッド空港で花束贈呈の歓迎振り

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演武会での柔道代表団

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演武会開会式

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現地少年少女との体験稽古

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交流稽古の後で現地柔道家と

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解団式の夕食会で高村団長を囲んで

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