
プロフィール
杉田 りゆ(すぎた りゆ)岐阜県生まれ
自営業(ヨガスタジオ経営・オンラインサロン運営)、法務省名古屋矯正管区 篤志面接員
活動歴
・ベースボールマガジン社『近代柔道』 ライティング
・岐阜県柔道協会 ブランディング担当
・全日本柔道連盟 長期育成指針推進業務担当
畳の外から柔道に携わるようになって、私は何度も「心が震える瞬間」に出会ってきました。2021年9月、全日本柔道連盟に「ブランディング戦略推進特別委員会」が設立されました。当時、私は女性起業家の方々に向けてブランディングを伝える講師として活動しており、ご縁をいただいて、岐阜県柔道協会と関わらせていただくようになりました。
私の祖母は大正8年生まれ。女社長として時代の先を行く女性でした。幼い頃から、社会の第一線でいきいきと働く女性たちの姿を間近で見て育った私は、自然と「女性が社会に与える力」の大きさを学びました。私自身も20代で起業し、「女性の美しさと健康」をテーマに事業を続けてきました。
だからこそ今、柔道の世界にも女性の視点や感性が欠かせないと、心から感じています。
現在は、全日本柔道連盟が推進する「長期育成指針」にも携わらせていただいています。
この指針は、競技力の向上だけでなく、柔道が本来持っている価値を、未来へ丁寧に受け渡していくそんな大切な取り組みです。
ある日、長期育成チームのメンバーが、こんな言葉を生み出してくれました。
「強く 優しく 幸せに 一人ひとりが進むべき道」。
柔道とは、まさにそうであってほしい、そんな願いが込められた、美しく力強いキャッチコピーです。
この言葉に出会ったとき、「柔道って、もっとやさしくていいんだ」
強さを追い求めるだけでなく、優しさや幸せも、大切にしていい。
そして何より、一人ひとりが“自分らしく進んでいける道”が、柔道の中にある。
そう思ったとき、肩の力がふっと抜けた気がしました。
私の中のどこかで、「伝統」と「変化」はきっと両立できないのではないか
そんな思い込みがあったのかもしれません。
けれど柔らかさと強さを併せ持つ、若い思考の方々や、しなやかな女性の視点と向き合う中で、その考えは少しずつ上書きされ、「両立はきっとできる」と思えるようになりました。
しっかりと根を張った伝統を守りながら、風のように自由に、変化を受け入れていく。
そんな柔道の姿を、今の社会は求めているのではないでしょうか。
今、畳の上にも、畳の外にも、柔道に関わるたくさんの女性たちがいます。
指導者として、母として、サポーターとして。
それぞれの立場から、静かに、けれど確かに、柔道という文化を支えています。
だからこそ、誰もが“自分のかたちで柔道と関われる”社会を、みんなでつくっていきたいと思います。
それは、これまで柔道を築き支えてきた方々への敬意であり、
これから柔道に出会う子どもたちへの、やさしい贈り物でもあります。
そしてきっと、柔道人口の裾野を広げることにもつながっていくはずです。
“中の人”だからこそ見える景色があり、
“外の人”だからこそ気づける違和感もある。
そのどちらも大切にしながら、柔道という文化が、もっとひらかれた存在へと育っていくことを願っています。
今日も私は、畳の外から柔道の世界を、そっと応援しています。
- 東京学芸大学柔道部ヨガ教室の様子①
- 東京学芸大学柔道部ヨガ教室の様子②
- 長期育成指針ポスター
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