December 18, 2017

【重大事故総合対策委員会】 道場掲示資料について

 公益財団法人全日本柔道連盟では、青少年の健全育成に向けて、安全で効果的な指導の指針として、掲示資料「柔道をはじめるあなたへ」「もしも頭を打ったら」「熱中症を防ごう」「頸椎事故を防ごう」編を作成しています。これら資料は、既に道場等に掲示していただき、指導者や子ども達の安全意識向上にご尽力いただいていることと思います。誠にありがとうございます。
 さて、昨年度は重篤な柔道事故が複数起こりました。誠に憂慮すべき事態であり、全ての指導者が安全確保、事故根絶に向けて決意を新たにしなければなりません。
 平成28年度の始まりに当たり、道場掲示資料「柔道をはじめるあなたへ」「もしも頭を打ったら」(一部改訂)編を、改めて配布いたします。統計資料によれば、5月から7月の時期は、柔道を始めたばかりの初心者の事故が多く報告されています。これから柔道を始めるみなさんをはじめ、柔道に関わる全ての方々へ周知徹底していただき、事故根絶に向けて、一層ご尽力いただきたく、お願い申し上げます。

【柔道をはじめるあなたへ】

柔道をはじめるあなたへ

「相手を思いやろう」
 柔道を学ぶ上で最も大切な心構えです。礼儀正しい挨拶を行うとともに、稽古相手への感謝の気持ちをもちましょう。

「正しい受け身・投げ方を身につけよう」
 どんな状態で投げられても頭を打たない、けがをしない受身を習得することは、必須項目です。また、投げた相手がけがをしないよう、姿勢を崩さず相手の引き手を引き、相手の安全を確保する正しい投げ方を身につけましょう。

「基礎体力を身につけよう」
 柔道は格闘技的要素を有する激しい競技です。地道なトレーニングで首や体幹を鍛え、心肺機能を高め、稽古に耐えられる強い身体を作りましょう。

柔道をはじめるあなたへ.pdf

【もしも頭を打ったら!】

もしも頭を打ったら

「すぐに練習をやめて安静にしよう」
 時間が経過してから重篤な事態に急変する事例も報告されています。頭を打ったら、たいしたことがないと思っても、すぐに練習をやめ、まず経過観察を行いましょう。

「少しでも異常を感じたら、医師の診察を受けよう」
 頭痛、吐き気、意識低下等、少しでも異常を感じたら、必ず医療機関で医師の診察を受けましょう。

「練習を再開するときは、必ず医師の許可を受けよう」
 症状が回復しても自分で判断してはいけません。段階的競技復帰プロトコール(「柔道の安全指導第4版」参照)に基づき、必ず医療機関を受診し、医師から活動再開の許可を受けましょう。

もしも頭を打ったら.pdf

【熱中症を防ごう】

熱中症を防ごう

「温度と暑さ指数(WBGT)を常に把握し、指針を守ろう」
 熱中症は室内でもよく起こります。必ず、道場に温度計とWBGT計を設置してください。最近では、気温・湿度・WBGT値が同時に計測できる機器なども、通販などで比較的安く入手可能です。掲示資料中の熱中症予防指針を遵守して、危険段階となったら練習を行わないことが大原則です。練習開始後に一気に気温が上がることもありますので、常にチェックする心構えも大切です。

「こまめに休憩をとり、水分と塩分を補給しよう」
 のどが渇いたと感じた時には、すでに脱水症状が始まっています。思考力が低下して不慮の事故の危険性も増します。適宜休憩を取り、適切な水分・塩分補給を心掛けましょう。いつもより濃い尿の色も脱水のサインです。

「個人の条件にも十分に配慮し、早めの対応で事故を防ごう」
 普段は暑さに強い人でも、急に暑くなったときや蒸し暑いとき、体調の悪い時には熱中症にかかりやすくなります。また、肥満傾向のある人も熱中症にかかりやすく、体力が十分でない人、暑さになれていない人も、体温調節がうまくできないため、熱中症にかかりやすくなります。
熱中症の症状はさまざまです。このため気付くのが遅くなりがちです。治療の遅れは多臓器にダメージを与え、取り返しのつかない結果につながることがあります。冊子「柔道の安全指導」第四版の41-44ページに、熱中症のことが詳しく載っています。日頃から冊子で熱中症の症状と対処法についてよく学び、お互いの体調に気を配り、早めの対応で事故を未然に防ぎましょう。

熱中症を防ごう.pdf

【頸椎の事故を防ごう】

頸椎の事故を防ごう
「頭を突っ込む内股等の技は絶対にかけない」
 頸椎事故の多くは、内股等の技を施す際に自分から頭を突っ込んで体勢を崩すことによって発生しています。普段の稽古から正しい姿勢で打込を行う指導を行うことが事故を予防します。
 頸椎の事故は、初心者よりも経験者に多く発生しています。審判規定で反則負けになるから行わないのではありません。事故を未然に防ぐために指導を徹底してください。

「(受) が前額部を強打する技をかけない」
 頭を突っ込んでの事故は、技を施した側の受傷ですが、顔面を強打する事故の多くは技をかけられた側が受傷する事故です。
膝をつく等、低い姿勢から相手を真下に落とすようにかける技は受身が取りにくく事故につながりやすくなります。相手を投げることだけでなく、相手を尊重し思いやる意識の育成を目指した指導を行うことが大切です。

「一瞬の頸椎事故で、長期間の後遺症」
 頸椎の事故は、頸椎損傷や頸椎脱臼骨折等、長期間の入院や退院後のリハビリが必要となる重篤な事態を引き起こします。たとえ一命を取り上めても、一生車椅子の生活となる場合もあります。事故は一瞬ですが、その後の長い人生が千台無しになってしまいます。
 絶対に事故を起こさないためにも、自分自身が注意するだけでなく、仲間が頭部から突っ込むような危険な場面を認めた場合は、先輩、後輩の区別なく必ず注意をする、指導者にも報告する等、一丸となって頸椎事故を防ぐ体制を整えることが大切です。

頸椎の事故を防ごう.pdf