平成19年全日本柔道選手権大会結果(07.5.14)

平成19年全日本柔道選手権大会結果(2007.5.2)

2007年4月29日(日・祝)東京・日本武道館において平成19年全日本選手権大会が行われ、鈴木桂治選手(平成管財)が2005年の2連覇以来2年ぶり3回目の優勝を果たした。

(文・写真 全日本柔道連盟 広報委員 三浦登・渡邊昌史)

 

suzuki <入賞選手>
優勝 鈴木 桂治(平成管財)
2位 石井 慧 (国士舘大学3年)
3位 片渕 慎弥(日本中央競馬会)
3位 井上 康生(綜合警備保障)
5位 棟田 康幸(警視庁)
5位 高井 洋平(旭化成)
5位 庄司 武男(神奈川県警察)
5位 泉  浩 (旭化成)
kaikaishiki <戦評>
【準決勝 第1試合】(赤)片渕慎弥-(白)鈴木桂治伝家の宝刀さえる 鈴木、開始28秒『小内刈「一本」』
125㎏の片渕の身体がスーっと畳に吸い込まれた。ドーンと背中がついた時、主審の手は天井に向って挙げられていた。「鮮やか」という言葉以外ないであろう『小内刈』であった。
「はじめ」の合図で両者の組み手争いが始まった。互いに左組みで釣り手と引き手を取り合っていた。鈴木は引き手で袖が取れないと、片渕の左脇の下あたりを つかみ、片渕を引きつけ距離が接近した直後に放った足技であった。両者にとって初めてかけた技での見事な「1本」勝ちで、鈴木は5年連続となる決勝に駒を 進めた。
ishiino 【準決勝 第2試合】(赤)石井慧-(白)井上康生昨年の史上最年少優勝から連覇を目指す石井と、3年ぶり出場の井上の初顔合わせとなった。両者とも、ここまで決して楽な勝ち上がりではなかった。石井は3試合ともに技のポイントを奪えず、井上も組み手を封じられ内股が決まらず、苦しみながらの準決勝進出であった。 こ の対戦、組み手争いと勝負への「こだわり」が明暗を分けたといえよう。石井は左、井上は右のケンカ四つの組み手。互いに釣手は取るものの、なかなか引き手 が取れない。そのなかでも、石井は常に下から釣手を取り、片手のみで体落を掛ける。前半、井上が腹ばいになる場面が2回。対して、井上はあくまでも組み 勝った姿勢からの内股にこだわった。しかし、思う形になる前に必死に攻める石井に先手を取られ、中盤以降の2度の内股も効無かった。
技のポイントがなく、決着は旗判定に持ち込まれ、わずかに攻勢を印象付けた石井に旗2本上がった。
ketsu1 【決 勝】(赤)鈴木桂治-(白)石井慧雪辱果たす「赤旗3本」! 鈴木が判定で3回目の優勝
残り1分あたりで石井が放った釣り手だけの背負投。その時点で鈴木は勝利を確信したであろう。鈴木は、体制が崩れた石井を上から寝技で攻めたて、終了の ブザーまで石井を再び立たせなかった。鈴木は明らかに試合の主導権を握り6分間を戦った。小外刈などの足技に加え、大外刈、内股と浅いながらも技をしかけ る鈴木は、決勝まで足技が切れていた。
2回戦(初戦)の大藤尚哉(綜合警備保障)を小内刈から小外刈の連続技で「1本」。3回戦の穴井隆将(天理大職)には、鈴木も「負けたかもしれない」と 思うほど苦戦したが、準々決勝の高井洋平(旭化成)を小外刈,小内刈で有効2つをとって勝ち上がった。そして、準決勝は棟田康幸(警視庁)に勝ち、好調 だった片渕慎弥(日本中央競馬会)を、開始わずか28秒の小内刈での「1本」で勝利し、石井にプレッシャーを与えた。
石井は鈴木の足技を警戒したのか、腰を終始引いた姿勢になり、組際に双手刈や朽木倒などの足取りを試みたが、鈴木はしっかり間合いを図り、優勝という結果を出した。
ketu4 <総評>
「昭和の日」と改まった平成19年度の全日本選手権。全国10地区の代表に前年優勝の石井慧(国士舘大学)と準優勝の鈴木桂治(平成管財)の推薦2名を加えた37名が出場して、「柔道日本一」の覇権が争われた。
石井の連覇か、鈴木が王座を奪回するのか、井上康生(綜合警備保障)の復活なるのか、選抜体重別を制した高井洋平(旭化成)や初優勝を目指す棟田康幸 (警視庁)ら、話題豊富で役者もそろった。世界選手権(9月、ブラジル)の代表選考会も兼ねており、近年にない盛り上がりで、日本武道館は開場とともに小 中高校生の柔道ファンで3階席から埋まった。
決勝は2年連続で石井と鈴木の同階級、同門(国士舘大学)の対戦となり、鈴木が昨年破れた石井に雪辱し、2年ぶり3度目の日本一に就いた。
だが、全般的に見ごたえのある試合が少なかったような印象は否めない。全36試合中、「一本勝ち」8試合。むろん、豪快な技や秀逸な技で一瞬の刹那に決 まる、柔道の醍醐味のような試合だけが素晴らしい試合ではないだろうが、技のポイントをあげられないまま、「反則」(消極的、故意に組まない)や旗判定に 勝負のげたを預けてしまいような試合が好勝負といえるだろうか。
平成12年以来7年間、最重量級の選手から優勝者が出来おらず、日本柔道の屋台骨の重量級が安定していない。期待された高井、棟田のいずれも8強止まり で、唯一の光明は棟田を降した片渕慎弥(日本中央競馬会)であろう。ベテラン村元辰寛(旭化成)、実力者の生田秀和(綜合警備保障)を破っての4強入りは 評価される。
ベスト8を占めた選手の出場地区は推薦2名、東京4名、関東2名であり、地域的な偏りも著しい。選手の奮起を期待したい。
  • 勝ち上がり表(PDF)

また、大会終了後に行われた男子強化委員会にて9月にブラジル・リオデジャネイロで行われる世界柔道選手権大会の日本代表が決定した。
100kg級代表 鈴木 桂治(平成管財)
100kg超級・無差別代表 井上 康生(綜合警備保障)※どちらの代表になるかは7月以降に決定
100kg超級・無差別代表候補 棟田 康幸(警視庁)※代表になるかは7月以降に決定
100kg超級・無差別代表候補 高井 洋平(旭化成)※代表になるかは7月以降に決定