November 21, 2017

国際柔道連盟試合審判規定Q&A(20150601)

最近実施している審判研修会でよく問合せがある内容を全日本柔道連盟審判委員会でまとめました。

【投技】

・尻餅から押し込んでゴロンといった場合は最高でも「有効」か?

⇒ 「一本」になるケースは無いだろうが、速さ・強さ・コントロールで判断すればいい。

・逆回転の一本背負いは必ず「技あり」以下となるのか?

⇒ ローリングして投げた技の一例として説明したもので、俗称「韓国背負い」のように反対側に投げた技でも「一本」の定義に合致していれば「一本」を与える。

・「有効」のスコアが出たが、審判委員が映像を確認した時に、明らかに腹這いと確認した場合、訂正するのか?

⇒ 主審・副審が明らかに判断ミスを起こした場合、審判委員の責務として、試合を止め、主審を呼び意見し、再確認の合議を指示しなければならない。その目的は誤審を避けるためであり、映像を使ったケアシステムの導入は審判委員の責務遂行の強化のためでもある。審判委員の意見、映像の事実が主審に告げられた後、主審・副審はそれらを参考とし合議の上で最終判断を決定する。

【罰則】

・両者が同時に「指導」4回を与えられることはあるのか?その場合試合はどうなるか?

⇒ 「両者反則負け」の場合は、そこからゴールデンスコア方式による延長戦で勝敗を決する。延長戦中に「両者指導4」となった場合は「両者反則負け」となる。

・相手の技をかわすために両足が場外へ出て、そのまま場内に戻らないでいた場合は「指導」か?

⇒ 技の攻防で片方の選手が場外へ出て一連の動きが止まった場面で「待て」とし、ペナルティとはならない。

・片手で投げる意志のない袖釣込腰を連続して掛け続けた場合は「指導」か?

⇒ 技が効いているのか、偽装かを見分けること。組み際に繰り返して掛けるが、技として効いてなければ偽装攻撃で「指導」である。あるいは、積極的に組みに来ようとする相手の組手を妨げるような虚偽の攻撃であれば、取り組まないで「指導」を与える。

・両手で相手の釣り手を切ろうとしたが、きれなかった場合も「指導」なのか?

⇒ 切れなかった場合は、「罰則」とはならない。

・両手を使って相手の組手を切ったと同時にかけた技は有効か?

⇒ 両手で切った時点で「待て」、「指導」となる。

・袖口に指をいれて素早く技をかけることは「指導」になるのか?

⇒ ピストルグリップ、ポケットグリップなど「直ちに」攻撃すれば問題ないが、その後持ち続けていれば「指導」となる。

・けんか四つの場合に相手の釣手を叩く行為は「指導」となるのか?

⇒ 自身の釣り手は組んだまま、相手の釣り手を叩き、ずらす行為は「指導」ではない。相手の釣り手を叩きながら、自身も釣り手を離し、相手と完全に離れてしまえば「指導」となる。

・相手の柔道衣の裾を持つのはどうか?

⇒ 帯から出ている裾は持っても良いが、直ぐに攻撃しなければ「指導」となる・

・故意に関節を極めて「袖釣込腰」を掛けたために相手が負傷した場合はどうなるのか?

⇒ 故意に関節を極めて「袖釣込腰」を掛けた選手の「反則負け」となる。

*国際柔道連盟試合審判規定(和訳・ガイド付き)禁止事項罰則 附則 2.反則負け参照

【寝技】

・寝技において、ピストルグリップで握ることは「反則」か?

⇒ 寝姿勢での禁止事項に相手の裾口、袖口に関する規定はあるがピストルグリップについては無い。「反則」ではない。

・延長戦で「抑え込み」宣告後10秒で決着するところを、そのまま「抑え込み」を続けたら、抑え込んでいる選手が「絞技」によって「参った」または「落ちた」場合はどう判定するのか?

⇒ 抑え込んでいる選手が技を解かない限り20秒(一本)まで試合は継続される。試合継続中に「参った」もしくは「落ちた」のであるから絞めた選手の「一本勝ち」となる。

・「絞技」によって選手が落ちた場合はドクターを呼ぶこととなっているが、活を入れる対応はどうなるのか?

⇒ IJFではドクターを呼ばなければならない。審判員の活法などの対応は、大会での申し合わせで事前に取り決めることが望ましい。

・副審は「寝技」に対して「待て」を要求してはならないのか?

⇒ 一番近い距離で主審が見ているので、概ね主審の判断にまかせる方が望ましい。しかし長く攻防がない、一方の選手が試合時間の経過を狙って寝姿勢にいるなどの場合、副審から「待て」を要求しても構わない。

掛け逃げをした選手が抑え込まれたが、5秒~9秒以内に逃れた場合、掛け逃げの「指導」を与えるか?

⇒ 「指導」を与える。もし、「抑え込み」が継続されスコアとなる場合は、スコアを優先する。

【場内外】

・選手Aが押して場内にいて、押された選手Bのみが場外へ出た場合はどちらに「指導」を与えるのか?

⇒ 押した選手の両手が伸びきっているなど、明らかに押し出した場合は押し出したAに「指導」を与える。少し圧力を掛けられたが何の抵抗をすることなくBが場外へでた場合は、Bへ「指導」を与える。組手争いの延長や攻撃動作の無い動きで両者場外へ出た場合は双方に「指導」を与える。

・受が寝技の攻防で場外に逃げた場合、受に「指導」を与えるのか?

⇒ 受けが試合場から場外へ這い出すなど、寝技の攻防でなく明らかに場外へ逃げた場合は「指導」を与える。

【ジェスチャー・態度】

・3人制では副審は場外のジェスチャーはなるべくせず、場内外の判断は主審に任せるべきか?

⇒ 通常は場外に出た場面での「待て」は、副審が一々場外のジェスチャーをせずに主審主導で行えば良い。しかしながら、場内外の判断が微妙な場所で、尚且つポイントがあったかどうかを判断しなければならない場面では、まず副審が場内外のジェスチャーをはっきりと行い、それを見て主審がジャッジすることが望ましい。意見が違う場合は必ず合議をして判定を下すこと。

【帯から下への攻撃・防御】

・帯から下に少し触れたときの判断はどうか?

⇒ 触れた程度であれば、「反則」とはならない。明らかに帯から下への攻撃・防御と3審判員(審判委員がいる場合は4者)とも認めた場合「反則負け」を与える。

・巴投を受けた選手Aが技をかけた選手Bの足を持った場合、「反則「となるか?

⇒ 「投技」が継続しているか、「寝技」へ移行しているかによって判断する。例えば俗称「跳び十字」の場合、「投技」ではなく「寝技」へ移行するための技術であるため、受けがどのように倒れてもスコアは与えない。故に「跳び十字」を受けた選手が立ったままで飛んできた相手の脚・足を持っても「反則」ではない。

・帯から下への攻撃防御のケースで、主審が見えない、故意ではなく触れた程度であれば「OK」か?

⇒ 故意か故意ではないかではなく、帯から下への攻撃防御があったのか、無かったのかで判断する。例えば体を捨てての「腋固」の場合等も故意、故意ではないに関係なく判断する。1審判員から「見えなかった」で100%意見が一致しなかったとして判定してはいけない。明らかに反則を確認できた審判員は合議でしっかりと意見し3者で結論を下す必要がある。勿論、審判委員がいる場合は意見を求めなければならない。

【ベアハグ】

・ベアハグを掛けられた選手が切り返して投げた場合は「投技」を優先するのか、ベアハグを掛けた選手への「指導」を優先するのか?

⇒ 切り返した投げ技のポイントを優先し「指導」は与えないが、「技あり」以下のポイントで、且つベアハグを掛けた選手が「指導3」の場合、ベアハグの「指導」で「反則負け」となるため、合議して「反則負け」を優先する。

【ブリッジ】

・ゆっくりとした速さで頭をついたブリッジの姿勢の場合も「一本」なのか?

⇒ スピードの問題ではなく、頭から着地しブリッジの姿勢になったものを「一本」とみなす。これは、「危険な防御方法を青少年が真似て重大事故をおこさないこと」を目的としている。

【少年大会申し合わせ事項】

・足を交差していれば、「三角絞」をしていると判断してよいか?

⇒ 足を交差した後、絞まっているのかを見極める。また、審判団が安全か、危険かで判断を下し、危険と判断した場合は「待て」をかける。

【その他】

・コンタクトレンズが入らない、見つからない時はどう対応すればよいか?

⇒ 長引くようであればコーチにコンタクトを渡す等して試合を再開させる。

・帯の結び目が緩んでいる選手への対応はどのようにすべきか?

⇒ すぐに帯から柔道衣が出てしまったり、解けてしまったりするようであれば、結び直させる。しっかりと帯を結ぶように促しても、何度も同じ結び方しかせず、遅延行為と判断した場合には「指導」を与える。

・試合開始線がなくなった場合、どちらのポイントなのか判りにくい場合、どこを指せばよいのか?

⇒ 試合開始時に選手が立つ位置を示す。