December 13, 2019

「チンギス・ハーン・トロフィー」鈴木桂治選手受賞(06.12.21)

鈴木桂治選手が「チンギス・ハーン・トロフィー」2006世界スポーツ賞を受賞

2006年12月21日モンゴル・ウランバートルで鈴木桂治選手が「チンギス・ハーン・トロフィー 2006」世界スポーツ賞を受賞した。

この賞は、今年がモンゴル帝国建国800周年、且つモンゴル五輪委員会創立50周年にあたることから、これを記念して創設されたものであり、今回の授賞式が第1回目となる(来年以降も開催)。 世界のアマチュア格闘技選手(柔道、レスリング、ボクシング、相撲、空手、テコンドー等)の中で、モンゴル国創建の大英雄チンギス・ハーンのイメージに最も相応しい選手1名に与えられるものである。

最終選考は2人、柔道の鈴木選手(日本)とレスリングのタイマゾフ選手(アテネ五輪120kg級金メダリスト:ウズベキスタン)に絞り込まれたが( ともに五輪金メダリスト、世界チャンピオン)、今回は「一本勝ち」の連続で圧勝した鈴木選手の試合内容がタイマゾフ選手の試合内容より勝っていたという理由で、記念すべき第1号の受賞者に鈴木選手が選考された。とりわけ、鈴木選手が大きくない体でありながら、重量級選手を素晴らしい技で投げ飛ばしたことへの評価が高く、力強さと頭の良さ(技術や戦術)を兼ね備えているという点で、チンギス・ハーンが小さな兵力でもって、敵である大きな軍勢を打ち破ったことを彷彿させるというものである。

セレモニーは円形の相撲宮殿(日本武道館を小さくしたもの)で開催され、TV局の人気アナウンサーによる司会進行で場内のムードはいやがうえにも盛り上がる。エンフバヤル・モンゴル国大統領の入場に続いて、来賓やモンゴル相撲の歴代の横綱や五輪メダリスト達が紹介され、モンゴルの英雄達は両手を高く掲げて観衆に応えると、場内から割れんばかりの大きな拍手が沸き起こる。日本大使館からは市橋康吉大使と広報文化担当の書記官が出席されたが、たまたまモンゴル訪問中の岩井国臣参議院議員もお祝いに駆けつけられた。

TV局3局が生中継するなか、マーチングバンドでセレモニー(ショー)が幕開けし、青少年達による各種格闘技や各種スポーツ競技の演技、ダンス、プロフェッショナルのアクロバット演技、人気歌手による歌(ポップス、演歌、オペラ)、お笑い、民族舞踊等が次から次へと続く約2時間余は、まさにショータイム。 しかし、観客を大いに魅了したそれらですら、鈴木選手の受賞式を迎えるための前座のショーに過ぎなかった。

ザグドゥスレン五輪委員会会長から「チンギス・ハーン・トロフィー」創設の謂れや鈴木選手を選考した経緯について発表された。やがて場内に荘厳な音楽が流れ、モンゴル帝国時代を想像させるような鎧兜を身にまとう兵士達を従えた民族服姿のオドボギン氏(89年世界選手権大会95kg級2位)が、トロフィーを恭しく両手で掲げながら厳かに場内を一周。 正面の舞台のテーブルにトロフィーを置き、脱帽して一礼、準備は全て整った。

美声の司会者のアナウンスで、まずは貴賓席の大統領が五輪委員会会長に導かれてアリーナの中央をゆっくりと歩みながら正面のステージへと移動。そして「Keiji SUZUKI!」と場内に響き渡るように鈴木選手の名前が一際大きくコールされ、舞台上の大統領らに迎えられる形で、ダムディン五輪委員会副会長(モスクワ五輪65kg級銀メダリスト)に導かれた鈴木選手がやや緊張の面持ちでステージへと歩む。

そして、エンフバヤル大統領から鈴木選手へチンギス・ハーン・トロフィーが授与される瞬間、格闘技が大好きなモンゴル人の招待客(約2,000人)で埋め尽くされた場内は興奮のるつぼと化し、まさに相撲宮殿は地鳴りが起きたよう。トロフィーを手にした鈴木選手は、「これまでチンギス・ハーンという人についてはTVや漫画の世界でしか知らなかったが、この賞をいただいたことでチンギス・ハーンを身近に感じるようになりました。これからは皆さんに楽しんでもらえるような強い柔道をお見せしたいと思います。本日は有難うございました。」とスピーチ。

大統領よりトロフィー授与

受賞した鈴木桂治選手

大統領が舞台で出迎え

チンギス・ハーン・トロフィーの入場

オペラ

現地での新聞報道

授賞式の後は別室で、チンギス・ハーン・トロフィーと鈴木選手を囲んでの記念撮影会。

歴代のモンゴル相撲の横綱たちが入れ替わり立ち替わり、新たな英雄・鈴木選手に対し、「鈴木、鈴木!」「チンギス・ハーン!」と呼んでは、記念写真に納まっていた。 その中に、モンゴル相撲の歴史上の大横綱・バットエルデン氏(柔道協会名誉会長)や日本の大相撲・大関「白鵬」のお父さん(モンゴル相撲の横綱)の姿も見受けられた。

モンゴル人にとって、「チンギス・ハーン」という名前は格別なものであり、ザグドゥスレン五輪委員会会長から鈴木選手に対し、「鈴木さん、おめでとうございます。今回の受賞を機会に、チンギス・ハーンについての勉強をして下さい。そしてチンギス・ハーンの名に恥じないよう、これからも強い鈴木さんとして頑張って下さい。北京と近いモンゴルからは沢山の応援団が北京五輪に行くので、もし鈴木さんが北京五輪に出場することになったら、試合会場で沢山のモンゴル人応援団がチンギス・ハーンである鈴木さんを応援するでしょう。」と祝福と激励の言葉があった。

授賞式に先立つ19日、鈴木選手はテムジン.スポーツ・センターを訪問し、そこで練習している約60名の青少年達を対象に柔道教室を開き、内股と大外刈を指導した。憧れのスーパースターから指導を受ける機会を得た青少年達にとって、何よりのクリスマス・プレゼントになった。鈴木選手の受を、柔道を始めた時から『鈴木桂治命』という鈴木選手の大ファンである谷口智昭3段(青年海外協力隊員としてモンゴルで指導中)が務めてくれた。1年前の12月にモンゴルに赴任した谷口3段だが、地元の人達によれば彼のモンゴル語の上達ぶりは素晴らしいそうで、皆から「トモ」と呼ばれて慕われていた。そして20日、鈴木選手はモンゴル選手達を相手に乱取で軽く汗を流した(モンゴルの選手達は必死)。

氷点下15~25度という寒さのウランバートルで、連日、ウオッカ等のアルコール類による乾杯続きで大変な面もあったが、心から歓待してくれたモンゴル国とモンゴルの関係各位に深く感謝するものである。今回の鈴木選手のチンギス・ハーン・トロフィーの受賞は、鈴木選手個人の名誉であることはもちろんであるが、鈴木選手の受賞を通じて、日本とモンゴルとの交流の大きな架け橋となったことと確信するものである。

鈴木選手の“チンギス・ハーン・トロフィー2006”受賞に対し、改めて祝福するとともに、同賞受賞式の報告としたい。

文責:国際委員長 藤田真郎