▶ホテルの食事は基本バイキング形式。選手はコンディションに合わせ食事内容を調整している強化委員会国際委員会ブダペスト世界選手権大会報告まいんど44号から『柔道ゼミナール~栄養&コンディショニング編』を担当させていただいております栄養士の坂下です。2025年4月より強化選手の栄養サポートをしており、現在は柔道日本代表として世界選手権などの国際大会に出場する選手に、現地情報や栄養情報の提供することや、合宿などで選手の身体組成を計測し、体重経過を観察・分析する等の活動をしております。今回、ハンガリーのブダペストにて開催された世界選手権大会に帯同した際の活動内容について紹介いたします。世界選手権では男女22名の選手が出場しました。全選手の体重経過の観察を行い、減量が順調かどうか、コンディションの確認を行います。国際大会では、大会が開催される国によって気候や食事などの環境が日本とは大きく異なります。また、ホテルの設備や食事の内容もさまざまです。選手はそんななかで減量をしながら試合への調整をしています。選手一人ひとりがベストコンディションで試合に臨めるように全力でサポートしていきます。コンディションについては、一番近くで選手をサポートしているコーチに相談しながら体重の推移を観察していきます。減量方法は選手によって異なりますので、選手の傾向を把握し、減量の経過をコーチに共有します。減量が順調ではないことや、コンディションに不調があった場合に備えてサプリメントやドリンク粉末なども準備しています。また、減量後のリカバリーの食事についてもアドバイスを行いました。希望する選手には、計量後や試合当日のウクライナジュニアチーム招へい全日本柔道連盟では、ロシアとの紛争により道場が破壊され大変厳しい環境のなかで柔道を続けているウクライナ柔道チームを、2023年に22名、2024年に29名を約3週間受け入れてきました。今年度もポストスポーツ・フォー・トゥモロー推進事業(国際情勢に応じた海外アスリート等支援事業)を活用し、9月中旬から20名の選手団を約3週間受け入れることが決定しました。日本滞在中は、柔道の練習はもちろん、日本の文化や交流も行い有意義な招へい事業にしてまいりたいと思います。(全日本柔道連盟栄養士・坂下美裕)(写真は過去の招へい事業より)補食の提供を行いました。試合前日や当日の食事は試合のコンディションに影響を与えます。1日で全試合を行う柔道の大会で戦い抜けるようにエネルギー補給を中心に行います。計量後の補食では温かい「うどん」や「素麺」、「おにぎり」を提供しました。リラックスして食事がとれるように食事をする環境にも注意をします。試合当日は、選手の要望に合わせて「おにぎり」を提供しました。小さめのおにぎりにすることで、当日の体調や、試合の空き時間によって食べられる量を調整できるようにします。また、食べ慣れない食事ではなく、日本からごはんやレトルト製品、缶詰を持参し、食べ慣れた食事で体重の調整やエネルギー補給を行っている選手が多くいました。今後は提供できる食事を増やし、選手が食事を準備する負担を少しでも減らせるように試行錯誤していきたいと思います。今回の世界選手権では日本代表選手が良いパフォーマンスを発揮していたかと思います。どこの国でもベストコンディションで試合に臨めるよう他のスタッフと協力しながら、選手のサポートを行っていけるよう精進いたします。委員会 Information▲中村兼三氏(アトランタオリンピック金メダリスト)の寝技指導を受けている様子▲嘉納治五郎師範生誕祭のプログラム『書道教室』にも参加▲講道館での実業団の練習に参加したウクライナチームの選手たち(中央)▲多くのメディアから取材していただきました
元のページ ../index.html#42