まいんど vol.45 全日本柔道連盟
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医科学委員会柔道救護担当者講習会開催報告柔道の主な大会では、試合中に発生する怪我に対処するため、救護担当者が配置されます。対応を要する外傷の多くは鼻出血や手指の外傷などであり、適切な止血処置を行った後、選手は試合に復帰することが一般的です。しかし、柔道は防具を用いずに行う格闘技であるため、脳振盪や絞め落ちへの対応も求められます。さらに稀ではありますが、重大事故につながる重度の頭頚部外傷が発生した際には、迅速かつ適切な対応で選手の安全を確保する必要があります。そのためには、柔道特有の救護活動に関する知識と実践的な技術が求められます。全日本柔道連盟医科学委員会では、毎年2回、柔道救護担当者講習会を開催しています。今年度は、8月に岡山県で開催され(委員長 三上靖夫)る全国高等学校総合体育大会、10月に滋賀県で開催される国民スポーツ大会、そして2026年9月に愛知県で開催予定のアジア競技大会を見据え、これらの柔道競技会場で救護を担当する方々が受講しやすいよう、講習会を京都市で開催しました。講習会の趣旨にご賛同いただいた京都府柔道整復師会より、京都府柔道整復師会館のご提供を受け、2025年7月13日に講習会を開催しました。当日は、医師10名、柔道整復師26名、理学療法士3名の計39名が参加しました。講師は全柔連医科学委員会の委員が務め、参加者は事前に動画による学習を済ませたうえで、当日の講義・実技に臨みました。まず、東海大学の宮崎誠司先生が『柔道の救護に関する総論』と題して講義を行い、救護活動の基本的な考え方や注意点について解説しました。続いて、松本病院の田邊誠先生が、頭頚部外傷が生じた際の搬送方法についてデモンストレーションを行いました。試合場で頭頚部を負傷した選手を想定し、頭部の安定化、ログロールによる体位変換、スパインボードやスクープストレッチャーへの安全な乗せ方について解説しながら実演が行われました。実技講習では6つのブースを設け、受講者を6班に分けてローテーション形式で体験してもらいました。田邊先生とともに、スポーツ大会で救護活動に従事している松本病院のスタッフ8名がインストラクターとして参加し、きめ細やかな指導を行いました。また、筑波大学の井汲彰先生は止血処置のブースを担当し、マネキンを用いた額、顔面、顎部からの出血を想定したテーピングによる止血方法を指導しました。参加者は非常に熱心に取り組み、それぞれの実技を納得のいくまで繰り返し練習していました。今回の講習会で学んだ知識と技術が、今後各地の柔道大会における救護活動に活かされ、選手の安全確保に貢献していくことが期待されます。委員会委員会の活動状況や、お知らせがありますので、全柔連各種委員会から情報をお届けするページです。お役立てください。▲講習会参加者のみなさん講習会の様子〜委員会と柔道家をつなぐ伝言板〜      Information

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