まいんど vol.45 全日本柔道連盟
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(訳:ピエール・フラマン/広報マーケティング委員)永遠の日本ていることを認めなければなりません。そのゆっくりとした変化は、世界ランキングにも反映されています。このように、男子チームは事前に築かれた勢いのおかげですべてが順調に進んでいる一方で、長い間、安定していた女子チームはその力を失い、一部の国々に地盤を奪われていることに気づきつつあり、20歳のメルキア・オーシュコルンに体現された新世代、25歳以下の主力選手で、ブクリ、シジク、ディッコといったメンバーのチームを補強するために、彼女らが潜在能力と権威をフルに発揮しなければならない状況になっています。世界の他の国々についてはどう思うでしょうか? チームは同じサイクルにあるという印象は受けませんでした。オリンピックでの完全制覇の陰で、男子チームには「ナンバー2のチーム」が準備されていました。すべてがスムーズで調和のとれたものでした。それは、90㎏級決勝での2024年オリンピック銀メダリストの村尾三四郎と2024年世界チャンピオンの田嶋剛希の対決、あるいは66㎏級での武岡毅がオリンピック2連覇者の阿部一二三の手からリレーのバトンを受け継いだことからも明らかでした。そして、29歳の輝かしいオリンピックメダリスト、永山竜樹は60㎏級で正しい選択をし、2024年に銅メダルを獲得し、その座を狙う22歳の新進気鋭の中村太樹を抑えることで大会を終えました。オリンピック開幕以来、男子で金メダル3個、銀メダル2個、銅メダル2個を獲得した日本には、事実上グレーゾーンはありませんでした。女子は、東京大会とは程遠い結果となったパリ大会や、3度の決勝進出を果たしながらも将来性のないイタリア勢が優勢を占めた地味な2024年世界選手権のように、混沌としていて輝かしいとは言えない状況でした。東京とパリのグランドスラムから台頭してきた新たなエリートたちでさえ、オリンピックで存在感を示すとは考えにくかったです。それでも、新しい「監督」塚田真希がチームを指揮し、リベンジに燃える阿部詩(52㎏級)が率いる日本の女子チームは、男子とまったく同じ数のメダル(優勝3個、銀メダル2個、銅メダル2個)を獲得しました。阿部詩の天才の背後には、目立ちはしないが基本的な技術に長け、つまり、立ち技の圧倒的な安定性と、魅力的な寝技という基本原理に基づいて、他のチームよりも強い、驚くべき教訓的な勝利があります。ロシアのデモ日本男子チームは2018年以来の世界選手権で最高の成績を収め、5回の決勝進出を果たし、3つのタイトルを獲得しました。しかし、3個の金メダルを獲得したロシア男子チーム(個人資格のIJF選手として出場。メダル合計5個)の猛攻にさらされました。ロシアは、2012年のオリンピックで日本を初めて上回った伝説的な成績に匹敵する史上最高の世界選手権での成績を収めました。ロンドン大会と同様に、これは女子柔道選手たちのサポートがない中での勝利であることに留意すべきです。近年、世界選手権、オリンピックで、国旗、そして国歌の使用を許されていないロシアは、イナル・タソエフ、ティムル・アルブゾフ、マトベイ・カニコフスキーといったすばらしい選手たちを擁し、2025年大会で圧倒的な強さを見せつけ、さらには現行の審判ルール下での新たな、極めて効果的な柔道を先導する形で反撃に出ました。2014年以来となるアラブ首長国連邦(UAE)からのメダリストでさえ実はロシア人です。他の国に残された余地が少ない中でフランスは自らのテリトリーを確保しました。率いるこの男子の世代は特に興味深い存在です。一方、フランス女子チームが後れをとっています。今大会は銅メダル2個。オリンピック後の2001年、2009年、そして2017年の3回(いずれもオリンピックの翌年)を除いて、メダルが4個未満になることは滅多にないフランス女子チームにとって、これは非常に少ない数字です。これは間違いなく、オリンピック翌年の傾向と言えるでしょう。フランスチームの監督、フレデリック・ジョシネがこの女子チームについて語ります。「今回の世界選手権のかなり前から、パリ2024大会で起きた出来事を、個人としてもチームとしても、もう振り返らず、明確に過去の出来事にする必要があることをわかっていました。女子チームのパフォーマンスレベルが低下しているという課題を引き継いでいます。トップレベルのパフォーマンスを発揮していた選手たちをチームに残し、若い世代を育成しようと努めましたが、今回の世界選手権で満足のいく総合的なパフォーマンスを発揮するには不十分でした。早急に改革を進める必要があります」ブシャール、ピノ、そして欠場する他の数人の選手が、世界選手権ですばらしいメダルを獲得する可能性がまだあるのは事実です。しかし、2019年の東京世界選手権で3つのタイトルを獲得したという大きな勝利を収めたこの世代(すでに6年前)は、2025年には欠場した3人の選手によって支えられていました。そして、この世代は確かに高齢化し日本も、男子と女子の代表29 まいんど vol.45個人戦で3個の金メダルを獲得したロシアの中でも、強さが際立ったマトベイ・カニコフスキー© Emmanuel Charlot/L'Esprit du Judo

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