KJA道場で見たその姿長期育成指針のかたちステージ1──育成の4つの視点【体育】遊びながら学ぶ、育成の最前線稽古は、静かに目を閉じて心を落ち着かせる「黙想」から始まります。続いて行われる毎回の自己紹介は、ただ名前を伝えるだけでなく、子どもたちにとって人前で話すということの大切な練習の時間となっています。自己紹介の後は、跳んだり転がったり、よじ登ったりといった運動遊びへと移ります。この時間は、子どもたちの好奇心を刺激しながら、受け身や体さばきといった柔道の基本動作につながっています。子どもたちは楽しみながら、自然に身体を動かす喜びを体験していました。【環境】安心と挑戦を両立する道場KJA道場は2024年1月、鈴木桂治氏(以下鈴木先生)によって開設されました。発達に特性のある子どもも安心して通える「療育の場」として、地域の方々に開かれた場所です。すべての子どもが個性を尊重され、安心して挑戦できる柔道空間を目指しています。施設は明るく清潔で、安全面への配慮も行き届いています。壁一面に設置されたボルダリングウォールは、子どもたちの好奇心と16(長期育成指針推進業務担当 杉田りゆ) 元気なあいさつ、楽しそうな笑顔──その一つひとつが「現場で見えた長期育成のかたち」でした。指導者は決して急がせず、一人ひとりのペースに寄り添い、必要な時だけ静かに助言を添えます。その丁寧な関わりの中に、“ 発育年齢に応じた環境づくり”という全柔連の長期育成指針が息づいていました。 2025年4月、全日本柔道連盟は「発達特性特別委員会」を設置し、木村昌彦氏が委員長に就任しました。その直前、名古屋で行われた「輝く柔道&スポーツのワークショップ」で出会ったのが、KJA道場──鈴木桂治柔道アカデミーの指導者たちです。「現場を見てください。きっと柔道の魅力が伝わります」。そのひと言に背中を押され、東京・町田の道場を訪ねると、畳の上で転がり笑う子どもたちが迎えてくれました。まいんど vol.45K J A 道 場( 鈴 木 桂 治柔 道 ア カ デ ミ ー)の 練習の様子
元のページ ../index.html#17