先生の勧誘より先輩の「一緒にやろう」が効果的道場というのが、とても好きな空間、自分を出しやすい空間になっていると感じていて、道場で楽しそうに柔道をしている姿を見ると、よかったなと思うことがあります。私としては可能な限り全員に目を配り、話をしたりアドバイスをしたりするようにしています。人数は多いですけど、正直あまり強くはありません。みんなで楽しんでいるという感じです。仲の良さのせいか、練習でも「悔しい」とか「勝ちたい」という気持ちがあまり芽生えないというところがあるので、お互いに切磋琢磨できる雰囲気や環境を作ることや向上心を育てることが今後の課題だと思っています。木村の大きな学校で、柔道部員は今、男子13名、女子26名の39名で活動しています。勧誘の工夫と言っても、特別なことはしていません。やっているのは3つ。まず1つ目が紹介ムービーを作って流す。2つ目は柔道のメリットデメリット、楽しさ等を書いたプリントを作り配布する。そして3つ目は柔道カードです。「強い男にならないか」といったことを書いた小さいカードを作って渡しております。未経験者が仮入部に来た時には、徹底して2・3年生を投げさせてあげます。投げさせて褒めるという繰り返しを、生徒たちにやってもらっています。先生が「入ろうよ」と誘うよりも、子どもたちが「一緒にやろう」と誘うほうが、効果は大きいと思うので、柔道部員に「誘っておいで」と。入部後に「なぜ柔道部に入ったの?」と聞くと、「楽しそうだったから」というのと「先輩が優しそうだったから」という答えが多いので、縦のつながりということをかなり意識するようになりました。生徒の育成ですが、自分はメニューを決めずに練習をしています。いま一宮市は、練習時間は週3回1時間程度で、土日も月1回だけのかなり短い練習量です。なので、短い時間で楽しんでもらうためにいろんな工夫が必要だと思い、毎回メニューを変えています。主なメニューは3つで、1つ目はトレーニングです。高校に行ってからも続けてほしいし、中学生の段階は身体づくりが一番重要だと考えているので、メインはトレーニングだと思っています。2つ目が柔道の反復練習。約束稽古、打ち込み、投げ込みです。時間が短いので、時間秒縛りでやっています。3つ目は、時間を与えて、どうするかを自分たちで考える練習です。生徒たちで話し合いながらやっています。そうすることで先輩後輩のコミュニケーションも生まれているように思います。清水成徳中は全校生徒200人ぐらいのすごく小規模な学校ですが、柔道部員は1年から3年まで合わせて39人います。今までお聞きした先生方とだいぶ内容が重なってきますが、勧誘の際のポイントは2つで、1つは「知る」ということ。そしてもう1つは「後押しされる」こと。この2点が、子どもたちが入ってくるポイントになるのかなと思っています。1つ目の「知る」というところでは、中学校に上がってくる小学6年生に向けて、中学校から部活動紹介ムービーというのを送っています。柔道部は、その年に流行った音楽やダンスなんかを少し盛り込んで紹介したりしています。そして、部活動体験では、みなさんの学校同様、実際に投げるということをたくさんやって、柔道の楽しさに触れてもらっています。「後押し」に関しては、軌道に乗ってきてからの話になるんですけれども、卒業していった柔道部の子たちが「柔道部よかったぞ。柔道部に入ったほうがいいよ」と声をかけてくれたり、保護者が話してくれたり、いわゆる口コミのような形で、ここ3年ぐらいは毎年10人以上、全員初心者ですけれども入ってきてくれています。生徒の育成に関しては、柔道を楽しむということはどういうことなんだろうということを、入部の時から繰り返し子どもたちに話しています。柔道を楽しむということは、柔道を通して自分が成長することを実感することじゃないかなと。練習は楽しいことばかりではなくて、つらい時もあるし、踏ん張らないといけない時もある。それを乗り越えることで成長できるんだよと話しています。それと、生徒たちには、常々周活動紹介を考え「柔道のかっこ良さを見せよう」ということで、体育館に畳を敷いて頑張ってくれました。その部活動紹介が結構インパクトがあったようで、仮入部は1日あたり5~10人くらい集まりました。2年生のみんなと話し、仮入部で来てくれた新入生に、受け身だけじゃなく、立ち技、寝技も体験してもらおうと、寝技では簡単な抑え込みを教えて、「先輩たちを20秒間抑えられるかな」というゲームをしたり、立ち技では先輩たちを投げる体験をさせて、投げる気持ち良さを感じてもらったり、そして最後には乱取を見学してもらい、楽しいことだけじゃなく、きついこともあるというのを知ってもらうようにしました。結果、その年の入部者は男子5人女子14人。入部の理由を聞いたところ、仮入部で見に行った部活の中で一番おもしろかったと言ってもらえて、正直うれしかったです。今年も男子5人女子8人が入部しました。柔道部紹介で、女子が男子を投げていたのがインパクトがあり、かっこいいと感じられたのか、今年も女子の入部が多めでした。生徒の育成に関して、正直、私自身の中学高校時代の記憶としては、しんどかったという記憶しかなく、何度も辞めたいと思いました。なので、私としてはせっかく入ってきてくれた子たちが、楽しみながら強くなって、より柔道を好きになるようなメニューを考えています。生徒にとって、柔木曽川中は生徒数が1000人ほど() 12甲武中学校棚窪智先生成徳中学校清水健先生まいんど vol.45木曽川中学校木村聡志先生
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