まいんど vol.45 全日本柔道連盟
12/48

見学に来てくれた子に手紙保護者の後押しもととにかく褒めまくります。そして、来てくれた生徒に対して手紙を書いています。「昨日は来てくれてありがとう。すごくいい技だったね。よかったら一緒に柔道しない? 黒帯を目指してみない」というような手紙を一人ひとりに書きます。手紙を書くと、ちょっといやらしい話ですが、その手紙を保護者が見て、「柔道部の先生、こんなことしてくれるの、柔道やってみたら」と、保護者の後押しが期待できるんです。それと、私たちが大事にしているのは合宿や校内試合、他校との合同練習、新入部員の歓迎会などの行事です。合宿にしても強化というよりは、いろんな体験や経験ができる合宿に切り替えました。東京の中学や高校、大学と交流させていただき、午前中は練習、午後は社会見学をし、柔道だけでなく、さまざまな勉強もできる合宿を実施しています。他の顧問の先生たちとも話して、強くなるためという考え方を完全に変え、柔道を好きになってもらいたい、楽しく柔道に取り組み、自分たちがどう成長したいのか。そういった指導に切り替えてから、大学に進んでからも柔道を続ける生徒が増えてきています。私どもの学校の第一目標が『文武両道杯』で、選手たちの大きなモチベーションになっています。その目標に向かって高校の先輩たちが懸命に取り組む姿に、中学生たちも影響を受け、楽しみながらも一生懸命にやっています。田窪甲武中に赴任して今年が3年目で、柔道部の顧問も3年目になります。私自身は中学・高校と柔道をやっていました。勧誘に関しては、最初の年は生徒たちが部最初の5年間は正直何もしませんでした。その結果、入部者は0でした。本当に「どうしようかな」と思うくらい柔道に興味を持ってくれなかったですし、保護者も「柔道は危ない、怖い、ケガをする」と、柔道部には目を向けてくれない状況でした。とにかく何でもやってみようと、自分が受け持っている体育や柔道の授業、そして校舎内での声掛けを徹底しました。それでもなかなか思うようにはいきませんでしたが、「入部しなくてもいいから、見学だけでも来てほしい」と声を掛け続けました。見学に来た子が少しずつ興味を持ってくれるようになり、入部してくれるようになって。見学まで持っていくことが大切だということに気づかされました。あと、柔道部の紹介ムービーやポスター、チラシも毎年作成し、見学に来た新入生に見せています。中身は、「柔道っていいな、すごいな、おもしろそうだな」と思ってもらえるようなもので、例えば丸山城志郎さんの内股の動画を入れたりしつつ、「みんなも練習すれば、できるようになるよ!」と。それで、実際に見学に来てくれた生徒に対しては、先ほど佐田先生もおっしゃられたように、一つ二つの技を教えて、上級生を投げてみてもらい、「キミすごいね。メチャクチャいいよ」択した子がいたり、新入部員数も減少傾向にあります。 「柔道をやってみたいけど、環境的に難しい」、「女の子なので、夜に拠点校に自転車では行かせられない」などの声が多く、「痛そう」とか「ケガが多そう」といった昔の柔道を敬遠する声とは違うものが挙がるようになってきました。矢作北中・柔道部のほとんどの生徒が柔        道未経験者ですが、先の大会では輝かしい結果を残しました。結果も時に大事ですが、 結果よりも、継続し鍛錬することに柔道の大きな魅力があると感じています。現在は母数こそ少ないですが、その魅力を生徒に伝えようと奮闘する毎日です。思春期真っただ中の中学生が、相手を思いやる柔道に奮闘することに意味があると思っています。佐田ますが、昨年度までは隣の岩倉中に務めておりまして、そこでの活動についてお話しさせていただきます。部活動の入部までの流れは、まず新入生歓迎会、部活動見学、部活動体験、仮入部の順に進められます。歓迎会では、学校内の部活動を紹介する動画を作ってそれを流します。内容としては「小さい子が、大きい子を投げ飛ばす」というようなストーリーの寸劇を入れた感じのものです。部活動見学の時には立ち技の投げ込みや乱取稽古を見学できるよう、練習内容を調整しています。地味な練習やしんどそうな練習は少私は、今は岩倉南部中に務めておりなめにして、少し派手というか、見栄えのいい練習をして興味を持ってもらい、体験入部では、受け身や基本運動を体験したあと、立ち技を一つ、払腰だけ教えて、それで実際に2・3年生を投げてみてもらい、投げる楽しさを感じてもらうとともに、自分でもできそうだと思ってもらえるように工夫しています。仮入部の期間中も受け身などを教えながら、最後は、先輩を投げる体験もさせてあげています。近年、生徒数の減少に伴い、校内での部員の獲得競争が激化しています。その中で、「柔道部に入りたい」と思う生徒をいかに短期間で育てるかが大きな課題だと思っています。また、保護者の理解を得ることや、他の部活動との調整も難しいですが、これまで自分自身が関わってきた柔道の楽しさや、厳しさを子どもたちに伝えていきたいという思いは変わりません。今後もこの取り組みを続けていきたいと思います。佐藤なところがあります。中高一貫の、大阪では進学校と言われている学校で、強化クラブはありません。生徒数は1学年約190人で、柔道部の部員数は、高校3年生は引退してしまいますので、高校2年生まででです。入部のための取り組みに関してですが、私は今の学校に17年勤めているんですが、私の学校は私立ですので、少し特殊11 まいんど vol.4560人くらいになります。ほぼ全員が初心者特別企画◎新規登録者優良校指導者座談会矢作北中学校菅原司先生岩倉南部中学校佐田修司先生大阪星光学院中学校佐藤健史先生

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る