田中本日は、全柔連で行っている新規登録者優良校表彰で表彰された中学校の先生方にお集まりいただきました。中里ご多忙のところ、ご出席いただきありがとうございます。先生方は、部活動において、たくさんの生徒を集めていらっしゃいます。みなさんのアイデア、ご努力をご披露いただき、全国の中学校の先生方に展開、共有できないものかと思い、このような座談会を設けさせていただきました。よろしくお願いします。田中新規登録者優良校の表彰制度は7年前に始めました。選手が試合で実績を上げれば、強い選手を育てたということで監督も評価されます。しかし競技実績だけではなく、柔道のすばらしさを伝え、たくさんの子どもたちが柔道を始めるよう導くことも大切です。そこで競技実績と関係なく、未経験者を多く入部させ柔道人口拡大に貢献した先生たちにも光を当てようと、新たな表彰制度を立ち上げたわけです。表彰される学校では、少子化の中でどのように多くの生徒を入部させているのか、そのノウハウをご披露いただければと思います。では、最初に菅原先生、お願いします。菅原私は顧問6年目なのですが、教員になり、新任の頃から柔道部の顧問をしています。柔道経験はなく、生徒と一番近い目線なのかなというところで指導しています。技術指導は、指導員のコーチがいらっしゃいますので、そちらにお願いし、私としては、柔道を通して何を学ぶのか、ということを考えながら指導しています。勧誘に関してですが、うちの学校は、初期の入部数はそれほど多くなくて、後から入部する生徒が多い傾向にあります。それはなぜかというと、先に入部した生徒たちが、「最初は受け身とか地味な練習だけど、私にもできたよ。先輩のことを投げることもできたよ」といった、ちょっとした成功体験を友だちに話して、それを聞いた子たちが入部してくるケースが多いように思います。私自身、柔道は未経験者なので技術に関しては基礎的なことしか教えられません。そのため小学生の頃から道場でやっていた生徒が、他の子たちに教えてくれます。そのほうがむしろしっかりと聞いていますし、自分も強くなりたいというモチベーションにもなり、子どもたち同士で技術を高め合っているように思います。現在、矢作北中の柔道部は岡崎市が推進する『地域ブロック部活動』の先進を担っています。柔道部は昨年9月から近隣数校を1ブロックとして活動を始めました。平日2日間1時間半、休日は3時間の活動です。令和11年度から完全に地域移行をするという目標のもと、現在は部活動と地域的活動のグラデーション期間となっており、新入部員を獲得することに苦悩しています。部活動が地域移行したため辞めることを選10※教員の勤務中学は表彰時ではなく、2025年5月現在のもの)座談会出席者菅原 司(愛知県岡崎市立矢作北中学校)佐田修司(愛知県岩倉市立岩倉南部中学校)佐藤健史(大阪府 大阪星光学院中学校)棚窪 智(兵庫県西宮市立甲武中学校)木村聡志(愛知県一宮市立木曽川中学校)清水 健(三重県桑名市立成徳中学校)神谷兼正(愛知県 愛知真和学園大成中学校)松田 元(三重県熊野市立新鹿小 ・ 中学校)中里壮也(全柔連副会長兼専務理事)田中裕之(全柔連普及振興部長)競技人口の減少が叫ばれるようになって久しい柔道界ですが、毎年、多くの初心者を入部させ活気のある部活動をしている中学校があります。今回は、全日本柔道連盟で毎年実施している『 新規登録者優良校表彰』において、表彰させていただいた中学校の先生方にお集まりいただき、新入生勧誘のノウハウ、部活動の内容、生徒育成の工夫などをうかがいました。全国の中学・高校、あるいは道場の先生方、ぜひご一読ください。 全日本柔道連盟中里壮也 副会長兼専務理事全日本柔道連盟田中裕之 普及振興部長まいんど vol.45多くの初心者を集める指導者に聞く新入生勧誘のノウハウと生徒育成の工夫特別企画◎新規登録者優良校指導者座談会
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