まいんど vol.44 全日本柔道連盟
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―パリオリンピック後、初の世界選手権です。どんな位置づけと考えていますか?「日本人選手に関しては、今までもずっと見てきている選手なので、いつもどおり、試合場に送り出すということですけれども、外国人選手に関して、どのように情勢が変わっているのか。特にロシア(IJF中立選手)などは最近の国際大会で、本当にすばらしい成績を収めていますので、対ロシアとなった時に、日本人選手がどこまで戦えるのか。特に重量級、重いクラスに関しては非常に圧倒的な力を見せている国です。オリンピックのことを言うのはまだ少し早いですけど、オリンピックに向けて、本当に強敵になる国の一つだと見ています。ロシアに限らず、まずはオリンピックに向けて、どういう国、選手が対抗馬として上がってくるのか、ライバルとして出てくるのかというところに注目したいと思います」―日本人選手にとって、どんな大会になるでしょう?「初出場の選手もいれば、前代表という選手もいますが、まずは、自分をアピールす―今回の世界選手権の位置づけは?「やはり4年後のロサンゼルスオリンピックに向けての最初の大きな大会なので、国内もですが、国際の中での位置づけがわかる、スタートラインなのかなと思い緊張しています」―選手たちのコンディショニングについてはどのように?「増地(克之)監督体勢では、かなり選手のケガに苦しめられたということを教えていただいておりまして、そこは非常に気を使っていかないといけないと思っています。大会に向けて身体を酷使するのはある程度は仕方ないことだと思うのですが、最後の最後にケガに見舞われるというのは、なんとか避けたいと思います。まずは、選手それぞれが自分自身の危機管理能力というか、危険察知能力みたいなものを高めていかなければいけない。いま、選手は恵まれた環境の中で練習していますが、選手自身が受け身ではその環境を活かすことはできません。そういったことに具体的に取り組むためにも、自ら情報を選んで、道筋を作って鈴木桂治男子監督塚田真希女子監督鈴木桂治&塚田真希監督に聞くブダペスト世界選手権への意気込みいけるようにする。そうすることで、不測の事態を少しでも避けるようにし、万が一、不測の事態が起きたとしても、試合に向けての気持ちというのを見失わずに済むのかなと。手探りではありますけども、そういったことも始めています」―ご自身、緊張しているというお話でしたが。「監督という立場で臨むのが初めてなので、けっこう緊張しています(笑)。おそらくこの緊張感というのは、ギリギリまで続くんだろうなと。でも、緊張はしているんですけど、まったくネガティブではなくて、新しい環境に身を置いて、ワクワクするような、そういう緊張感です」―今回が初代表という選手もいます。選手の雰囲気はいかがでしょうか?「追う立場から追われる立場になる、その転換期を迎えている選手もいるわけですが、客観的に言えば、いま、選手自身もふるいにかけられている段階だと思います。そういう状況下で、パフォーマンスを発揮できるかというところだと思うんですが、そこは、やはり本人の覚悟なのかなと。そういった意味では、阿部詩選手のような選手が一人チームにいるというのは、チームにとっては大きいと思いますね。彼女の姿勢を見ながら、どういう状況においても、力を出せる準備をしてほしいと思います。初出場の選手に一番言いたいのは、あまり委縮してほしくないということ。国際大会を見ても、海外の選手は非常に力がありますから、自分のパフォーマンスを発揮できないまま終わってほしくない。日本代表として戦えるわけですから、自信を持って、思い切って戦ってほしいと思います」る場であると思いますし、ロサンゼルスオリンピックにつながる大会にはなると思います。ロスオリンピックの代表選考はまだ始まっていっていませんし、ポイント的にもカウントされる大会ではありませんが、一年一年アピールするという意味では、もうスタートはしていると感じています」―新しいルールへの対応は?「まず、袖口のルールに関しては、日本人選手も同様ですが、外国人選手も誰も袖口OKのルールで試合をしたことがなかったわけですけど、外国人選手はすぐに対応し活用しています。片襟のルールに関してもそうです。ただ、一つ言えるのはどんな状況であれ、どんな環境であれ、戦い抜かなければならない。そして戦い抜けた選手が頂点に立つと思いますので、選手には、いろんな状況を想定しながら、大会までしっかりと詰めていってほしいという話をしています。勝つ確率というのは、自分の精度をどんどん高めていけばいいんですけど、それと同時に負ける確率が上がってしまっては話にならない。いかに負ける可能性を低くするのかが大事だと思います。例えば、袖口に関しては、どうしても日8  本人はまだどこかで袖口は悪だという考えがあるのかもしれない。外国人の場合は、ルール内であれば、何をしてでも勝つという環境とマインドがあると思うのです。日本人の場合、今はだいぶ少なくなってきましたが、やはり自分の戦いを貫くという考えの選手もいますし、自分のスタイルを崩すことを怖がる選手、嫌がる選手もいます。勝つためには、そこを踏み出す勇気というか、踏ん切りをつける必要もあると思っています」どんな状況であれ、戦い抜かなければならない。戦い抜けた選手が頂点に立つ自分のパフォーマンスを発揮できないまま終わってほしくないまいんど vol.442025年ブダペスト世界選手権大会

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