まいんど vol.44 全日本柔道連盟
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楽しそうに開発秘話を話してくれた斎藤氏(左)と伊藤氏(右)―まずは『道場ナビ』のプロジェクトが立ち上がった経緯を教えてください。斎藤 を打ち出して、その中で、柔道人口をいかに増やしていくかというのが課題としてありました。その解決策の一つとして、柔道をやりたい人と、実際に柔道ができる場所をマッチングさせることがあるのではないかということを考えました。もともと、全柔連のホームページの中に、『道場を探す』というサイトがあって、そこで、全国の道場は検索できたのですが、十分な利用状況ではなかったので、全国の道場指導者にアンケートをとり、そこで出てきた「難しそう」「使い勝手が悪そう」といった課題を改善し、簡単で使いやすいものにしようということになったわけです。まず、考えたのが検索の充実です。それまで道場名での検索はできたんですが、それだけでなく、エリア(県や市町村)から検索できるようにしたり、地図から検索できるようにしましたし、道場の情報に関しても、道場生やメンバーを募集しているのかとか、障がい者の受け入れができるのか、指導者の募集をしているのかといった、それまで入れられなかった情報も載せられるようにし、より幅広い人たちに利用していただけるものにしました。伊藤 こうして生まれた!﹃道場ナビ﹄開発秘話のデータを整理することによって、そこに付加価値が生まれてきます。今回、このプロジェクトを遂行することで、それがさらに整理され、道場を経営・運営している人へのソリューションだったり、活動場所を見つけようとしている人たちに対するソリューションも提供できるようになっています。―その他、技術的な面で工夫した点、ご苦労話などありますか?伊藤 技術的なところで工夫したポイントとしては、各道場にとっていいホームページが簡単に作れる状態を目指したかったのです。指導者のみなさん、おそらくパソコンの中に練習風景の写真ぐらいは入っていると思うので、その写真をアップロードするだけで、写真付きの、道場をアピールできるページが簡単に作成できるんです。あと、事前の分析ではスマホからのアク  てしまうので、これも自動で、パソコンでセスが7割ぐらいということだったんですね。パソコンは少数派なので、パソコンで最適化すると、スマホではすごく小さくなっもスマホでも最適化されるという仕組みになっているというのも、事前の分析と準備と開発でポイントとなった部分です。その他にも、いろいろと入れたい機能やアイディアもありましたが、それに関しては、今後少しずつ改良、実現させていきたいと思っております。―お二人は、この仕事には、一般公募に応募されて採用されたとのことですが。斎藤 はい、そうなんです。この仕事を一緒にやると決まった時に、伊藤さんと真っ先に話したのは、自分たちがやってきた仕事のキャリアが、柔道に貢献できるのはすごくうれしいねという話でした。伊藤 僕自身もヒョロッとしているんですけど、実は高校、大学と一応7年間柔道をやっていたんですよね。全然弱かったんですけど(笑)。だから人間性の形成とか、ものの考え方とか、そういうところはすごく得たものが大きくて、恩返ししたいという気持ちがありました。それが本業でやっていたシステムの知識とか経験が活かせるというので、めちゃくちゃうれしいですし、本当に、やりたいと思った仕事でした。うことと、使うのが難しそうだと思われているハードルを下げることが最初のポイントでした。『道場を探す』では、道場名を検索して、一度全柔連のホームページに入ってから、例えば、自分の住んでいる区や市を打ち込むと、そこにピンが立って、検索できるという形でしたが、そもそも、「何か習い事をやりたいな。身体を動かしたいな」と思った時に、『道場を探す』に入ってくるとは考えづらいし、もし入ってきたとしても、検索画面を見て、「面倒くさい」とやめてしまうと思うんです。このシステムでは、道場ごとに専用のホームページが作られ、あわせて都道府県や市区町村ごとの道場一覧ページも自動で作られます。これにより、グーグルなどの検索サイトから道場を探している人が見つけやすくなり、各道場のホームページにもアクセスしやすくなります。―『道場ナビ』の、自慢の機能は?伊藤 簡単に写真の掲載もできるようになっているんですが、これは目玉の機能だと思いますね。実際に、全国の道場が、練習風景やイベントなどを載せていただいているんですけど、それを見ているだけでも楽しいですし、すごく活用していただいているなと実感しています。斎藤 このサービスを構築していくにあたって、競技団体として、会員登録システムで各道場のデータをもらっているので、そ全柔連が2023年に長期育成指針道場の検索の性能を上げていくとい20斎藤康則(さいとう・やすのり)1972年5月21日、愛知県出身。ウォルト・ディズニー・ジャパンやアップル・ジャパンなどで、25年以上にわたりマーケティングやクリエイティブ分野に携わる。現在は、アップルのメディア部門でオペレーション業務を担当。仕事のかたわら、世田谷柔道クラブでの指導にも力を注いでいる。伊藤一貴(いとう・かずき)1984年12月12日、福岡県出身。高校、大学時代は柔道部に所属。大学卒業後、日本電気、アマゾンジャパンを経て、現在は住友商事でDX/ITを活用した事業のバリューアップ推進を担当。開発者の横顔まいんど vol.44

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