まいんど vol.38 全日本柔道連盟
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図1 運動量と上気道感染症のリスクとの関係D C Nieman.Exercise, upper respiratory tract infection, and the immune system.Medicine and science in sports and exercise. 1994 Feb;26(2):128-39.栄養&レシピ編普段から身体を鍛えているスポーツ選手は、身体が強いと思われがちですが、実は強度の高い運動をすることで免疫力が落ち、カゼやインフルエンザをひきやすいとも言われています。毎日の食事、補色で栄養をしっかりととり、少しでも免疫力を高めてカゼやインフルエンザにかかりにくい身体にすることを心掛けてください。「寒い季節の食事、補食について」上村香久子うえむら かくこ管理栄養士/調理師。全日本柔道連盟強化委員会科学研究部員、JOC強化スタッフ(情報・戦略、医・科学スタッフ)。12年ロンドン五輪では柔道女子、16年リオデジャネイロ五輪から柔道男女の栄養サポートを行うPROFILE体を冷やさないように、 温かいものをとりましょうカゼをひきやすい理由は、寒さによる体温低下だけでなく、空気の乾燥による鼻・のどの粘膜の乾燥、疲労、睡眠不足など、いろいろな理由が重なってひきやすくなると考えられています。特にスポーツ選手は、カゼをひきやすいと考えられています。これは、スポーツ選手が高い強度で練習を行ったあとは免疫力が低下しやすく、運動後のストレスなどにより免疫力の回復に時間がかかるためと考えられています(図1)。カゼをひきにくくするには、体を温め、のど・鼻の粘膜を乾燥させないような食事がよいでしょう。例えば、鍋料理。温かく、湯気を鼻や口から吸い込むので粘膜がうるおいやすいと思います。朝に鍋料理を作るのは、大変だと思います。そこで、活用しやすいのが、みそ汁やスープなどの汁物です。最近は、インスタントの汁物の種類が多く、便利ですね。汁物にプラスアルファしてみましょう最近は、「朝食の重要性はわかっているが、時間がない。短時間で用意できる方法はないか」と選手から相談を受けます。私は、「牛乳アレルギーでなければ、牛乳みそ汁はどうですか」と、提案しています。「牛乳みそ汁」は、私が小中学生のとき、朝ごはんの欠食率を下げるために栄養士の先生、保健の先生が勧めていました。作り方は、だし汁を牛乳に代えるだけで、あとはみそ汁を作る方法と同じです。この話をしますと、ほとんどの選手は驚き「美味しいんですか?」と、不安そうな顔で質問されます(笑)。意外に牛乳のうま味がみその味を引き立て、美味しくいただけます。牛乳を調整豆乳、アーモンドミルクに代えてもいいですよ。お鍋を使わなくても、即席みそ(粉末、ペースト)、即席スープ(粉末、ドライフーズ)に電子レンジ500wで約1分~1分30秒温めた牛乳を混ぜ合わせれば、簡単に作ることができます。(表1)のようにお湯の代わりに牛乳、豆乳などを組み合わせることによって、たんぱく質、カルシウムの補給量が増えます。柔道選手にとっては、これらの栄養素は必要です。また、たんぱく質をとると体温が上がりやすくなります。卵や納豆、ハムなどを加えると、さらにたんぱく質の補給量が増えま毎年、カゼをひいてしまいます。カゼをひきにくくするような食事はありますか? 特に朝は時間がないのですが、簡単に食べられるものだと助かります。汁物がおススメです。体を温めやすいですし、簡単に作れます。最近は、いろいろな種類のインスタントスープ、カップめし、冷凍食品などが売られていますので、時間のない朝に利用しやすい食品です。AQ36まいんど vol.38

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