まいんど vol.38 全日本柔道連盟
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フランスの人気柔道専門誌L’ Esprit du Judo (Spirit of Judo/柔道の精神)パリへの道~激烈なヨーロッパ選手権Text/Olivier Remy/L‘Esprit du Judo※原稿執筆はヨーロッパ選手権(11月7日〜11日)以前フランスINSEPでの練習風景 ⒸAntoine Frandeboeuf52㎏級のアマンディーヌ・ブシャールⒸAntoine Frandeboeuf代表選出スタートパリ・オリンピックまであと 300 日を切り、フランス柔道は自国で開催されるヨーロッパ選手権での大きな希望を実現する機会を迎えています。まさに重要な期間です。フランスがヨーロッパ選手権を開催するのはパリ(第1回大会の1951年、52年、55年、83年、87年、92年、2001年)、リヨン(1975年)、そしてモンペリエで開催された2014年に続き10回目になります。フランスチームが大きな期待を寄せるヨーロッパ選手権。女子チームの牽引役的な存在として9人の選手がおり、それぞれが世界選手権またはオリンピックのメダリストです。その中でもリーダー的な存在のクラリス・アグベニューとアマンディーヌ・ブシャールを中心としたインパクトあるチームです。2019年世界チャンピオンのマリー=イヴ・ガイェと、同大会の銅メダリストで、東京オリンピック団体優勝のメンバーでもあるマルゴー・ピノは70㎏級の激烈なライバルであり、それを考えれば、なおさらでしょう。そして、78㎏級でも、2019年東京世界選手権チャンピオンと2021年東京オリンピック銀メダリストのマデリーン・マロンガと、オリンピックのダブルメダリストで、2011年の世界チャンピオンであり、今年5月のドーハ世界選手権では決勝に進んだ33歳のベテラン、オドレー・チュメオとの対戦も行われます。とりわけこの2階級において、今回のヨーロッパ選手権は、パリ・オリンピックへの決定的なステップとなります。敗者になったなら、悲惨なことです。ここで実績が築かれる男子は、100㎏超級はテディ・リネールも他の選手も出場しないため、今年のヨーロッパ選手権では2つの階級ではなく3つの階級に2人の選手が出場することになります。オリンピックでのたった1つの代表枠を目指して、アレクシー・マチューと、ヨーロッパ選手権の2週間前に負傷した2歳下のマキシム・ガエル・ハンブーに代わって、オリンピックランキングで2位のフランス人選手であるベテランのアクセル・クレルジェと、90㎏級の2人が出場します。また、11月初旬に南フランスで行われる今回のヨーロッパ選手権では2人の66㎏級の選手が選ばれましたが、それは世界選手権メダリストのワリド・キヤーへの信頼を明らかに維持しながら、21年世界ジュニア選手権銅メダリストのマキシム・ゴベールは、今年はグランドスラムで2つメダルを獲得しており、オリンピックランキングトップ20に入ったので、経験を与えるために選んだのです。今の段階では73㎏級の代表はジョアン・バンジャマン・ガバですが、ひょっとするとヨーロッパ選手権の2週間後に行われるフランス選手権では、10月中旬にマラガで復帰したウゴ・ルグランが起こす激震を待つことになるかもしれません。そして、ヨーロッパ選手権で4回表彰台に上がっているルカ・ムハイジェが60㎏級でリーダーシップをとる見込みですが、ランキングでは現在17位でロマン・ヴァラディエール・ピカールより後ろで、セドリック・レヴォル(20位)が続いているので、ヨーロッパ選手権で勝利を獲得したいでしょう。こうした観点からだけでも、エキサイティングなものになります。9月初めにパリ・サンジェルマン柔道(クラブ)に加わったグルジア出身のオリンピックメダリストであるムハイジェは、この機会に印象を残したいと考えています。「公式戦は記録を構築する場所であり、キャリアの実績を示すものであり、たとえ年初めに復帰できて満足していたとしても、グランドスラム等とは違います。特にホームなので、これは間違いなく今年の一番の目標です。オリンピックのメダル? 私に自信をくれました。そして、オリンピックが近づくにつれて、オリンピック前のグランドスラムの2つのメダルとヨーロッパ選手権で1つのメダルを獲得したことは私に強さと開放感をもたらし自信を与えてくれました。 こうして積んだ経験は、きっと役立つはずです」30まいんど vol.38

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