まいんど vol.35 全日本柔道連盟
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委員会 Information血腫5件)、そのうち「重大・準重大事故」が3件、うち「死亡事故」が1件となっています。 また、重大事故の1件は、過去に柔道とは無関係の病気による脳に既往のある小学生が大外返で投げられて急性硬膜下血腫で意識不明の重篤な状態に陥りました。改めて重大頭部外傷を起こす可能性のある病歴のある場合、経過年数によらず原則として柔道の実技は行わないことを徹底することが重要です。柔道を始めるとき、練習環境や指導者が変わるときは、頭部の重大な既往症の有無などを確認するなどの予防対策の徹底をよろしくお願いします。『柔道の安全指導』︱柔道の未来のために︱第6版の改訂について 2020年の「柔道の安全指導」第5版の改訂からわずか2年ですが、都道府県柔道連盟や柔道の関連団体等でこの冊子を有効に活用していただいていることなどから、増刷が必要になったこと、また、内容充実のための修正や最新データへの更新の要望が高まったことなどの理由により、医科学委員会との共同プロジェクトにより第6版の改訂となりました。 今回の第6版は、第5版を修正・加筆することで現場の指導者がより活用しやすいものにするために改訂を行いました。柔道の未来のために、重大事故を根絶することは、我々柔道人すべての願いです。本冊子が広く現場で活用され、事故防止や安全指導の一助となることを願っています。~これまでの改訂の経緯~ 全日本柔道連盟では柔道の重大事故の根絶を最優先の重要課題と考え、これまでに以下の「柔道の安全指導」の手引きの改訂を行ってきました。〇2006年:事故防止、安全指導の手引きとして「柔道の安全指導」初版をまとめました。〇2009年【第2版】:新たにケガや事故を集約・分析して具体的な事故防止対策を掲載しました。〇2011年【第3版】:新たに重大事故に直結する頭部・頸部の怪我予防の具体策を掲載しました。〇2015年【第4版】:新たに脳しんとうに関連した「頭部事故防止・対応マニュアル」と「段階的競技復帰プロトコール」、心肺蘇生法の最新の手順、初心者指導の「柔道練習ステップ」などを掲載しました。〇2020年【第5版】:冊子の活用度を高めるために、事故防止の視点で内容を精選し、文言や用語を統一、専門用語もより平易でわかりやすいものにするなど、現場で使いやすい内容にするために大幅な改訂を行いました。 危険な場面の映像資料について 本委員会では、審判委員会との連携・協力により、重大事故につながる危険のある場面を、実際の試合映像から抜き出し、事故防止及び審判規定や審判の在り方の改善に向けた参考資料を作成しています。 すでに審判委員会では、審判研修のための映像資料を作成していますが、本委員会でも、頭部、頚部の重大事故につながる危険な場面の映像資料を作成し、2月4日(土)の全国安全指導員連絡会(WEB開催)でその映像資料を紹介しました。 今回の映像資料では、特に、少年大会における危険な場面を多く取り上げて、少年規定で反則行為とされる文言(たとえば、無理な巻き込み技など)と実際の試合の審判の判定の実態を映像で見比べることで、事故防止や安全指導のより良い在り方を見直す機会としたいと考えています。(委員長 磯村元信)

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