まいんど vol.34 全日本柔道連盟
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▲写真3 高齢者への受身講習。柔道の受身そのものも骨折の危険性があるため、できるだけ衝撃の少ない方法で実施されている「JUDO」ホントのところ』第14回掲載)。そのなかでも特にクロアチアでは、放課後に学校の体育館で実施する”Judo in Schools”が積極的に行われています(写真1)。この取り組みは、受身を習得する目的だけはなく、子どもの柔道実施人口が増える大きな起爆剤となりました。自治体が支援するオランダの転倒予防 ヨーロッパの先進国も少子高齢化については、我が国同様大きな問題となっています。前述のとおり、我が国の高齢者割合(全人口の65歳以上)は28・5%ですが、イタリア:23・6%、ドイツ:22・0%、フランス:21・1%、オランダ:20・5%となっており、欧州諸国もますますの高齢化が予想されます。これらを比較しても気づくとおり、実は日本は群を抜いて世界第1位の高齢化国なのです。さて、ここで取り上げるオランダは、高齢者における『受身』のプログラムが日常的に行われています。オランダといえば、生涯スポーツとしての柔道が盛んで、多くの人が『形』の練習に取り組んでいる印象も強いですが、『形』の練習そのものが『太極拳』のようなバランストレーニングの要素となるのかもしれません(写真2、3)。 ちなみに、オランダでは転倒予防に関する取り組みに対し、社会支援法(WMO)によって助成金が支払われます。このWMOは地方自治体の財源で賄われ、こういったボランティア活動に対して助成することで、地域住民が関わりながら社会が元気になるという仕組みは注目すべきポイントです。我が国の転倒予防事情 では、我が国では、転倒予防に対してどのような取り組みが行われているのでしょうか。現在、働き盛りの人を対象として厚生労働省では、「スベッチャダメよ! 転倒予防 ムチャしちゃダメよ! 腰痛予防」のキャンペーンが実施されています。労働災害の第1位が転倒であり、その6割が骨折であることから、スポーツ庁も一緒にその予防に取り組んでいます。特集『転び方プロジェクト』▶厚生労働省のキャンペーン

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