まいんど vol.34 全日本柔道連盟
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特集『転び方プロジェクト』図1 2022年と2045年の人口の変化図2 65歳以上の交通事故と転倒の死亡者数の比較表1  要支援・要介護の原因(2019年国民生活基礎調査, 厚生労働省より作成)こんなに変わる日本の人口比率! 我が国は、世界稀に見る超高齢化社会に突入しようとしています。2022年の65歳以上の人口割合は28・5%であり、実に3・5人に1人が高齢者なのです(図1)。(※WHOの定義では65歳以上を高齢者としている) では、23年後の2045年はどうか。なんと、総人口の36・8%が65歳以上の高齢者が占め、高齢者と生産人口(15~64歳)の比率は、1:1.4となるのです。つまり、高齢者1人を、1人か2人の労働者で支えていく世の中なのです。 そこで、全国民が心配しているのが、「病気やケガになったときの保健は保障されるの?」「入院できる受け入れ先はあるの?」「年金は?」「寝たきりになったら?」等々。近い将来訪れるであろう社会の変化に目を背けてはいられません。介護の原因の第3位は骨折・転倒! 介護が必要かどうか、ということを決めるために、「要支援」と「要介護」という分類があります。「要支援」とは、日常生活は自分で行えるが、多少の支援が必要な状態であり、「要介護」は自分一人で日常生活を送ることが難しく、誰かの介護が必要である状態と定義されます。 では、「介護が必要となる原因は何だと思うか?」と働き盛りの人に聞いてみると、ほとんどの人が「心臓病や脳血管疾患などの大病が原因なのでは」と答えます。果たして、実際にそうなのでしょうか(表1)。 なんと、要支援・要介護となった原因の第3位は「骨折・転倒」なのです。この数字は、決して低くありません。さらには、「骨折・転倒」によって身体活動量が著しく低下するため、要介護の原因第1位や2位である「認知症」や「脳血管疾患」につながる可能性も指摘されています。一見、介護の原因に思われない転倒ですが、実は我々の日常生活において、この危険は潜んでいて、いつ発生するかわからない、そして老後の人生を左右しかねない重大な問題なのです。転倒は交通事故よりも危険! 交通事故は、その人の人生を一瞬で奪ってしまう悲惨な事故です。場合によっては、ニュースになることもあります。しかし、転倒はどうでしょう。あまり、取り上げられることはないのではないでしょうか。では、交通事故と転倒、どちらの事故が多いのか? 厚生労働省「人口動態調査」から、65歳以上の交通事故と転倒・転落の死亡者数を比較してみましょう(図2)。 「交通事故」による死亡者数は年々減少しているにも関わらず、「転倒・転落・墜落」は増加傾向にあり、なんとその数、交通事故の約4倍にもなります。 ここで想像されるのが、やはり死亡に至るような事故は、日常に起こり得るような転倒よりも、むしろ転落・墜落なのではないか、ということです。階段を踏み外して『転び方プロジェクト』は人類を元気にするプロジェクト!5まいんど vol.34

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