まいんど vol.33 全日本柔道連盟
29/48

メディカル編ゼミナール柔道JUDOこのコーナーでは選手、指導者を対象に、それぞれのスキルアップに役立つ話題(コンディショニング、トレーニング、栄養、心理、メディカル、コーチングなど)を紹介します。指導者のスキルアップのための東海大学スポーツ医科学研究所所長。日本整形外科学会専門医・スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツ医、神奈川県体育協会スポーツ医科学委員会トレーナー部会長。現在、全柔連医科学委員会副委員長で、96年から08年まで全柔連チームドクターを務めた。PROFILE解説:宮崎誠司東海大学スポーツ医科学研究所 所長骨は成長に伴い長く・太くなります。骨格を形成する長管骨は先端に骨端線(成長線)があるため縦方向に伸びていきます。骨端線では軟骨から骨に置き換わりながら骨が伸びるのですが、牽引や圧迫などの外力が加わったり、血流が悪くなったりすると骨端部の骨化過程に障害がおこったり、軟骨の下の骨が壊死(つぶれてくる)したりします(図1)。膝蓋腱(お皿の下の腱)が付着している脛骨粗面の骨端症がオスグッド病です。【骨の成長】成長期の骨は、骨の中心部にあたる骨幹部と、骨の端の部分にあたる骨端部に分かれており、その間に骨端線(成長線)が存在しています。成長期の骨端部には、骨端軟骨(成長軟骨)が存在し骨の長さの成長を行います。成長とともに骨端軟骨の中心に骨(骨端核)ができ、次第に骨端全体が骨となり、骨端線が消失して、骨幹端部とつながって大人の骨となります。 【骨端症】骨端症とは、成長期にみられる成長軟骨の障害です。骨の先端部分にある成長軟骨に、血流障害が発生し、壊死がおこっているものや、骨端部に付着する腱が骨端部を牽引し骨端の骨化障害をきたして分離したりするものも含まれます。大腿骨骨頭におこるペルテス病と脛骨粗面におこるオスグッド病が代表的なものです。このほか、足では舟状骨の第1ケーラー(Koehler)病、第2中足骨骨頭の第2ケーラー(Freiberg)病、踵骨の踵骨骨端におこるセーバー(Sever)病、第5中足骨のイセリン(Iselin)病、膝蓋骨下棘のシンディング・ラーセン・ヨハンソン(Sinding Larsen-Johansson)病、脛骨近位内側ブラント(Blount)病、上肢では上腕骨小頭におこるパナー(Panner)病などがあります。【オスグッド病の概要】オスグッド病はアメリカの整形外科医オスグッド氏と、スイスの外科医シュラッターが、この症例を学会に報告したことから名づけられました。オスグッド病は小学校高学年から中学生くらいの成長期にあたる子どもに頻発するスポーツ障害です。柔道では多くは認められていませんが、特にサッカーやバスケットボール、バレーボールなど、膝への負担が大きいスポーツ種目で多くみられます。男女比では男子に多いのが特徴です。発育期の解剖学的特徴に運動による牽引力などの外力が加わったことが直接的な発症原因ですが、成長過程などの今回は、成長期のスポーツ障害の代表的な疾患であるオスグッド・シュラッター病(以下オスグッド病)について説明します。オスグッド・シュラッター病、骨端症図1図228まいんど vol.33

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る