まいんど vol.33 全日本柔道連盟
10/48

【全柔連×SDGs スペシャル対談】山口絵理子×谷本歩実お二人の対談は、下記YouTubeで、異なる視点でご覧いただけます。【全柔連TV】https://www.youtube.com/watch?v=FmY2WRt7-gs【山口絵理子CHANNEL】https://www.youtube.com/watch?v=C99vek61n2o山口 すごい! そんな領域なんだぁ、哲学なんですね、柔道は。谷本 私はそう思っています。山口 私は、ビジネスを始めて哲学と出会ったと思っていたんですけど、実は、柔道をやっていたときに、すでに哲学に出会っていたんですね。谷本 山口さんの話、正直、けっこう驚いていて、実際に同世代でまだそういう経験をしていた人がいたんだと。柔道のあまり、良くない思い出は吐き出してもらって、ここから新しくスタートして、いい思い出を作っていただければと(笑)。それに、そのときはそのときで、楽しい思い出もあったんじゃないかなと…。山口 はい、ありましたありました。自分が女子部を作るという選択をしたときから、今まで「ない」から「ない」じゃない、「ない」なら自分で道を作っていくという、そういう意味では、すごくいい成功体験だったし、最後の最後は、勝部武監督に、「自分を信じる」ということを教えてもらい、気持ちよく試合できて優勝させてもらったと思っています。やはり、人を信じて…、私たち毎日毎日、柔道日記を書いていて、先生からコメントをいただいていたんですけど、その信頼関係の積み重ねが、現在の私の対〝ひと〟に関しての軸ではあるなと思いますね。谷本 そうなんですね。仕事上で人を育てることも難しいですが、子育ても本当に難しいと思いますけど、どうです?山口 たしかに、ビジネスより何より大変だなという感覚はあります。でも、世間一般で言われているように、大変なだけじゃないという気持ちが大きいですかね。楽しいなぁと思います。谷本 楽しいですか!山口 毎日変化するから。谷本 ああ、そうですね。日々、変わりますもんね。山口 この前、バングラに1週間行っちゃったんですけど、帰ってきたらすごい大人になっていて、ちょっと寂しくなったというか。谷本 ああ(笑)、わかります。いま、私は指導の現場から離れていますが、女子の選手たちが引退後に、子育てをしながら、やりたいことができるような体制を整備していきたいと考えているんですけど…。どうですか、山口さんは、仕事との兼ね合いというのは?山口 子どもができてから、自分の労働時間というのは、極端に減っているなという感覚はあるんですけど、私たちは、成果物として、プロダクトをいかに世に出せるかというのがあって、それは自分の時間の使い方でコントロールできると思っています。谷本 道を切り開き、ロールモデルとなっていくというのは、たくさんの女性に、女性に限らずいろいろな人たちに、選択肢や希望を持たせてくれていると思いますし、そういう意味では、山口さんは、私の光りでもあると感じています。山口 そんなこと言っていただけるなんて、本当に光栄すぎます。毎日毎日、模索しながらですよ。谷本 SDGsの観点からもいろいろと取り組まれていますよね。山口 私は、世界の、いろんな廃棄物が集まるのが途上国だと思っていて、そこで起業するという意識があったから、世界の汚点というような現場を見ているんですよね。たとえば、ちょっとシミが入っただけのTシャツが山盛りに廃棄されていて、それを10円20円で買う人たちがいて、そういうところが原点でもあるから、なんか循環するような形じゃないとうまくいかないんじゃないかという意識が常にあるんですね。ただ、コロナによって、こうした考え方が一部の高い意識を持った層だけでなく、幅広い層に広まったかなとは思います。そういう意味では、SDGsというすごくいいキャッチコピーが生まれたとは思っているんですけど、大企業のマーケティング的な要素で使われていると感じることもあるので、それを本業でやるべきだと思いますね。アディショナルなキャンペーンとしてではなくて、ちゃんと雇用して、そこでの労働環境を用意して、いいものを作るというスタンスは変えずにやっていきたいと思います。谷本さんにも、バングラにぜひ来てほしいです。谷本 柔道衣を持って(笑)。山口 ぜひぜひ! ぜひ来て、柔道を指導してください。谷本 では一緒にやりましょう。山口 一緒に(笑)。やりましょう!ビジネスより何より大変な子育て。でも、毎日変化するから、楽しい!

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る