まいんど vol.30 全日本柔道連盟
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柔道関係者、また柔道関係者じゃない方たちにもアンケートをとり、柔道に期待されているものがどういうものなのか、いまの現状はどうなのかというところを確認できるように取り組んでいこうと考えているところなんですよね。伊藤 そうですね。実態調査という形でアンケートも進んでいますよね。井上 そうですね。委員会に入っていただいて、確認していただいている部分もあると思いますが、まず1回やることで、今後の展開においてもみなさんのご意見というものを聞ける環境が作れていけるかなと思いますので、まずは早急に形作りをして、実施していきたいと思っているところです。 伊藤さんはいろんな経験をされていて、現役時代もすばらしい成績を収められた。また、現役を終わってからもさまざまな分野で活躍されている姿を見させていただいているので、ぜひともこの委員会でも力になってもらいたいと思っていますが、逆にこの委員会に求めたいこと、また、この委員会で自分自身がやりたいことを何かお考えですか。伊藤 まず、全体としては、この柔道という競技をきっかけに、スポーツはいいものだというイメージ、雰囲気や空気を作っていきたいですね。なんとなくいいなという雰囲気が、いろんな人に広まっていくうえで大事なことだと思っていて、「これがいい」という断定よりも、「なんかいいよね」とか「なんとなく楽しいよね」というなんか、感覚的な感じのほうが広まっていくと思うんですね。それをちょっと広めていきたいというのと、私自身はやはり女性アスリートの身体のことを専門でやっていますので、女性のコンディションのサポートをしたいですね。コンディションというと「休養と栄養と練習」と言われてるんですけど、女性の場合は、プラス月経コンディションというのが入ってくるというところをやっていきたいと思います。井上 今回の東京オリンピックにおいて女子選手の活躍も非常に大きなものだったと思うんですね。でも、例えば指導者の問題にしても、またアスリートとしての女性の問題等々においても、たくさんの課題があるのが現状です。そういうところを一つひとつ改善していきながら、柔道をやっている方々が、柔道に取り組みやすい環境をつくる、それと、最初のほうで話されていた、より柔道に親しみやすい環境とか、柔道を見たいと思ってもらえるような環境づくり、大会に足を運び柔道の魅力を感じてもらえるような雰囲気づくりというところでも知見を発揮してほしいと思います。伊藤 試合を見に行くことで、選手たちがどれだけ真剣に、真摯に柔道と向き合い、いまこの空間で戦っているかというのを感じられると思うんですよ。それを感じることによって、選手のことをもっと知りたいとか、かっこいいなとか、すごいなと心に響く、心が動くようなことが起きると思うので、まずは足を運んでもらいたいと思いますよね。井上 これから先においても、いろいろな方々に協力していただきながらこの委員会のやるべきことを膨らませていき、より一層いいものをつくっていきたいと思っています。伊藤 はい。井上委員長の「一緒に汗を流してほしい」という一言で決めましたので、私も頑張ります(笑)。井上 私自身も恩師の影響もあるんですけど、言ったからには自分自身が動いてやるというのが信条でもあるので。まだまだ身体も頭も動かせる年齢ですし、元気もありますから。あと、もう一つ思っているのは、これは監督時代にも常に感じていたことなんですけど、個の力なんて高が知れていると。とくに「リーダー」とか「監督」というのは、呼称なだけであって自分の能力は自分がいちばん知っていますから。でも、いろんな人たちを結集して、一つにまとまれば必ずや大きな力に変わり、大義をなせる、そういう組織を作り出すことができるのではないかと思っています。 ここからまた、ブランディング推進委員会を中心に、連盟内のいろんな委員会ともタイアップしながら、また連盟内だけじゃなく、外部のいろんな方々、また柔道を応援してくれる方々も全部含めたうえで、柔道界をより一層、良いものにしていきたいという思いがありますので、ぜひとも一緒に頑張ってもらいたいと思います。伊藤 はい。柔道界では、ダイバーシティ(多様性)についてはどのように取り組んでいますか?井上 柔道界は意外と多様性のある取り組みをしていて、例えば、オリンピックを目指す選手たちがいれば、今回の東京パラリンピックで活躍した視覚障がい者の柔道にも力を入れています。また、I柔道のイメージというと、日本発祥、礼が学べること、あとは…柔道の方はみんな明るい(笑)(伊藤)ブランディング戦略推進特別委員会設立記念対談井上康生×伊藤華英PROFILE 伊藤華英(いとう はなえ)1985年1月18日生まれ。埼玉県大宮市出身。幼少期よりセントラルスポーツのスイミングスクールで水泳に勤しみ、東京成徳大学高校時代から日本のトップ選手として活躍。大学は日本大学経済学部経済学科に進学。2000年日本選手権200m背泳ぎ優勝(日本新)、2008年日本選手権100m背泳ぎ優勝(日本新)などの記録を残し、2001、03、05、07,11年世界選手権に出場したほか、2008年北京オリンピック、2012年ロンドン・オリンピックに出場。2012年に現役を引退し、その後、早稲田大学スポーツ科学学術院スポーツ科学研究科でスポーツマネージメントを、さらに順天堂大学大学院スポーツ健康学部に進学し博士号を取得。現在、一般社団法人日本トップリーグ連携機構常務理事。本年10月、全日本柔道連盟ブランディング戦略推進特別委員会副委員長に就任7まいんど vol.30

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