まいんど vol.30 全日本柔道連盟
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教育普及部会・少柔協中央委員会合同「転び方WG」転んでもケガをしないという受身の効用を、広く社会に発信する転び方教室の展開を推進するWGです。今号では、47都道府県柔連に行ったアンケート調査の結果をお知らせします。▪未経験者の体験教室の実施  21県:50%(図1)▪転び方(受身)教室の実施  17県:40%(図2)▪教室の開催頻度  年1回~年間20回 不定期▪教室の開催時間  30分~2時間回答のあった都道府県の半分近くで、未経験者対象の体験教室や受身の転び方教室を実施しています。主催は県柔連から地区柔連または個人と多様ですが、全国各地で行われていることが明らかになりました。実施に際しては「保護者も含めて柔道の楽しさを伝えられるように工夫」「楽しんでもらうこと、柔道のよさを理解してもらうこと」「他競技とのコラボレーション」「地域貢献活動として実施」等、さまざまな工夫をしながら活動されています。本WGでは、今年度中に全国規模での転び方の指導に関する意見交換会(WEB)を開催し、全国的な規模での多様な知見を基に、標準的な指導内容・方法を検討していく予定です。次世代を担う子どもたちへの 最高の贈り物。 それが「受身」です世界保健機構(WHO)によると、世界の不慮の事故による死亡数第2位が「転倒」です。そこでWHOは、転倒予防のための積極的なプロジェクトを推進するよう各国に要請しており、すでに欧州各国では「受身プロジェクト」が実施されています。6歳までにピアノを始めないとプロのピアニストになれないと言われるように、子どもの脳神経の発育は未就学児の段階で90%近く完成します。つまり、この時期に「受身」を習得することが非常に重要なのです。幼児期に不意な転倒で骨折する子は多く、その後も、我が子に起こり得る不慮の事故やリスクを親がすべて回避してあげることは難しいのが現実です。だからこそ、自分の身は自分で守れるように、すべての子どもたちに「受身」をプレゼントしてあげたい、というのが私たち「転び方WG」の想いです。受身を習得することには、何のデメリットもなく、むしろ良いこと尽くめです。改めて「受身」のメリットを挙げると以下のとおり。1.身につけるのが、早ければ早いほどさまざまな転倒リスクを回避し、安全に人生を過ごすことができる。 2.さまざまなスポーツでの転倒によるケガのリスクを低減できる。3.欧州のように、人生の早い時期に受身に触れさせる機会が増えるほど、中学校で初めて柔道を実践する人の重大事故のリスクが減少する。4.高齢者にとっても受身を習得することで、転倒による寝たきりを予防できる。ひいては我が国の医療費の削減につながる。私たちは「転び方WG」で夢を語り、そしてその夢を実現するためのエビデンスと方法をディスカッションしています。これから先、柔道に携わる人だけではなく、一般の人にもその「メリット」を伝えていきたいと思っていますし、まだまだ、あれもやりたい、これもやりたい、夢は膨らむばかりです。この夢の実現のためには、全国の柔道家の諸先生方のお力が必要です。ぜひ、柔道に精通し受身に熟達した先生方のご協力をお願いしたいと思っています。(WGメンバー:曽我部晋哉)実施実施無し図1 未経験者の体験教室の実施について図2 転び方(受身)教室の実施について

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