まいんど vol.29 全日本柔道連盟.
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 男子においては「個人戦での全階級金メダル獲得ならびに団体戦優勝」を目標に掲げて本戦に挑み、結果は金メダル5個、団体戦銀メダルの獲得であった。 4日連続の金メダル獲得や総計5個の金メダル獲得は過去に例のないことである。その偉業を選手たちは成し遂げてくれた。コーチ、スタッフ、そしてすべての選手たちを心から讃えたい。 金メダルを獲得した5名の勝因としては、「周到な準備」「平常心と我慢」「データの活用」が挙げられる。「周到な準備」において、コロナ禍のなかで限られた環境であったが、そのなかでも緻密な戦略、戦術を準備できていた。これは選手たちが常に勝つために必要なことを考え抜き、自ら行動できる集団であったからこそのことである。彼らの姿から「自主・自律性」を持つことの大事さを改めて学んだように思う。 また、オリンピックという極限の緊張状態のなかでも選手、コーチたちは常に「平常心」を保ち続けた。決勝に進出した5名のうち、4名がゴールデンスコアとなる厳しい戦いであったが、つらく、苦しい状況でも忍耐強くかつ丁寧に戦い抜いたことが勝利につながったと思う。これは常日頃から勝つための「質と量」を意識した準備をしていたからこその対応力だったと感じた。 「データの活用」においては、石井孝法統括長を中心とした全日本柔道連盟科学研究部の力は絶大であった。準備段階では、細かな選手情報や大会情報などが提供され、緻密なシミュレーションができたことや試合当日においても対戦相手や審判の動向まで最新の情報が逐一届けられたことで迅速に対応することができた。日頃から後方援助隊としてチームのために全力を尽くしてくださったことに対しては心から感謝しかない。 その反面、2階級でメダルを逃したことや団体戦で銀メダルに終わったことは大変悔やまれる。私の指導力不足がすべてであったと反省している。個人戦の敗因としては、「勝負を仕掛けるタイミング」や「投げ技勝負」などの戦術面が徹底男子監督井上康生INOUE Kosei2020東京オリンピックを終えて応援ありがとうございました!東京2020オリンピック閉幕史上最多! 男子5階級、女子4階級で金メダル獲得 2021年7月24日(土)から7月31日(土)までの8日間、東京・九段の日本武道館で開催された東京2020オリンピック柔道競技。日本は、男子5階級で金メダル、女子4階級で金、1階級で銀、1階級で銅メダルという史上最多のメダルを獲得。さらに、最終日に行われた、オリンピック初開催の男女混合団体戦でも大激戦の末、銀メダルを獲得しました。 コロナ禍のなか、開催も危ぶまれた『東京2020』でしたが、無事に開催できましたことは、関係者のみなさまのご尽力の賜物であり、ご支援、ご声援くださいました多くの方々のおかげです。心より感謝申し上げます。この特集では、日本代表選手団と支えてくださったみなさまの奮闘の一部をご紹介させていただきます。[ 特 集 ]4まいんど vol.29

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