まいんど vol.29 全日本柔道連盟.
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図1 初心者を投げる場合、引き手は特にしっかりと引くようにします重大事故総合対策委員会「試合」等における柔道事故防止の徹底について 全日本柔道連盟(倫理推進室)に報告された2021年1月から8月末までの「柔道事故」は、全部で9件となっています。※全柔連ホームページ(指導者・審判/事業報告書について)参照 発生事故9件のうち、6件は「試合」での事故であり、そのうち4件が「脳しんとう」受傷事故でした。幸いにも、重大・準重大事故に至るケースはありませんでしたが、新型コロナの全国への再拡大が懸念されるなか、今後もコロナ禍の特異な練習環境における重大事故の発生が危惧されます。引き続き日常練習での体力や筋力の向上、受身の習熟を徹底するとともに、大会運営では感染防止とともに頭部・頚部の事故防止の徹底に特段の留意をお願いいたします。コロナ禍における重大事故防止の留意点⃝基礎体力や筋力、受身が十分に備わっているかを把握して無理のない範囲で練習や試合を行わせてください。とくに、子どもや初心者の練習や試合には特段の配慮をお願いします。日常の練習のなかで、とくに受身の練習を例年以上に徹底していただきますようお願いします。 初心者の重大事故防止の徹底事項⃝初心者には少なくとも3か月程度は高い位置からの投げ込みを行わせないことを徹底してください。とくにこの時期は、初心者に大外刈の投げ込みを受けさせないでください。⃝大外刈の高い位置からの投げ込み(受の両脚が宙に浮くような投げ込み)、および投げ技の乱取は、少なくとも5か月程度経過してからとします。医科学委員会⃝医科学委員会の前半期の活動報告 コロナ禍が続くなか、全柔連活動全体の方向性を決定するうえで、医科学的な見地からの検討が必須となっておりますので、前期より医科学委員会はこの観点からの活動に重点を置いてきました。その二本柱は、昨年6月に公表し改定を重ねている「指針」の策定と全柔連主催大会における感染症対策ですが、それ以外にも強化選手の海外派遣に関わる感染予防の観点から強化委員会とも頻繁な打ち合わせを行うようになっています。今期もその方針を踏襲し、前半では以下のような活動を行いました。1.「指針」の更新『新型コロナウイルス感染症対策と柔道練習・試合再開の指針』の初版は昨年6月18日に公表されました。その後の国内の感染状況の変化や政府施策の重点の変更等も考慮のうえ、第二版(昨年7月27日)、第三版(本年2月10日)と版を重ねてきましたが、各地で柔道大会が徐々に再開されるなか、所属チームに感染者や濃厚接触者が発生した場合の試合参加の可否について改めて全柔連の基本的な考え方を示す必要があり、7月6日に第四版(Ⅴ4)を公表しました。 また、この頃までに練習を通じてというよりは寮での集団生活のなかで感染がまん延したと推測される報告が複数ありましたので、Ⅴ4では寮生活における一般的な注意事項も紹介しました。2.動画ビデオ「感染対策講習会」の製作 指導者の間で「『指針』は長くて読み切れない、どこがポイントかわからない、もっと簡単なダイジェスト版がほしい」等の要望があることは承知していました。一方で「指針」というものは、あらゆる場面を想定し、新たに発生した目の前の課題を考えるときにいつでも立ち戻れるような基本的な内容が包括的に記載されている必要があるのでこれ以上短くすることはできない、という事情もあります。 そこで、このたび「指針Ⅴ4」に内容準拠した約1時間のYouTube動画を製作し、全柔連ホームページに掲載しました。よく質問をいただく畳の消毒方法等も動画で具体的に紹介しています。この動画を一度見たうえで改めて「指針」本体を読めば、これまで以上に理解が進むものと思います。すべての指導者がこの動画を視聴し、基本的な感染対策の知識が関係者の間で一層広まることを願っております。(https://www.judo.or.jp/news/503/)3.指導者講習会での講義 コロナ禍のためさまざまな講習会の開催が滞っており、とくに畳の上で柔道の実技を行うことを前提とした講習会の開催は困難を極めておりますが、各主催者のご努力によりオンライン形式で新たな視点でさまざまな講習会が開催されていることも事実です。医科学委員が講師として参加した講習会は次ページの一覧表のとおりです。4.大会救護と感染対策 残念ながら本年度も多くの大会が延期・中止となっておりますが、4月の全日本選抜体重別選手権大会(福岡国際センター)、インターハイ柔道競技(長野県ホワイトリンク)、全国中学校柔道大会(ALSOKぐんまアリーナ)は関係者のご努力によりなんとか開催することができ、医科学委員も例年以上の体制で救護および感染対策に当たりました。 なかでも東京オリンピック柔道競技は、練習会場対応も含め7月19日~31日と長丁場でしたが、医師総勢19名(うち医科学委

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