まいんど vol.29 全日本柔道連盟.
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 大会事業委員会当面の最大目標であった東京2020オリンピック・パラリンピックが終わりました。コロナ禍のため1年の延期、またその開催については賛否両論ありましたが、運営スタッフはこれまでの知見をフルに発揮し、最善を尽くして臨んだ大会となりました。 2013年9月に東京大会の開催が決定して以降、2017年ハンガリー、2018年アゼルバイジャン世界選手権に大会事業委員を派遣して情報収集を重ねてきました。その後、2019年の東京世界選手権での大会運営を経て、今回のオリンピック・パラリンピックを迎えています。 ここで試合開始から表彰式までの流れを紹介します。 はじめに、選手はウォーミングアップ会場で係員に「そろそろ試合ですよ」と移動を促され、選手受付、柔道衣コントロールを経て入場ゲートまで進みます。 入場ゲートでは、試合の進行に合わせて試合場への移動を案内され、試合場に上がって試合開始。選手・審判員の動向を注視しタイマーを操作し、途中で出血や負傷をすれば救護係が対応します。 また、試合が終わってメダリストになれば、メダルハンターと呼ばれる学生ボランティアの方々が、メダリストを確保する係となって動きます。メダルハンターは、選手に更衣を促し、待機場所へ案内し、スムーズな表彰式の運営に務めます。 ちなみに、柔道衣コントロール係は柔道衣の検査だけではなく、サイズが適合していない柔道衣を着用している選手に対して、適合した柔道衣を貸し出す対応を行っています。ところが、協力的な選手ばかりではないので、その回収にはたいへんな苦労がありました。 他にも試合を複数の方向から撮影するVTR係、試合と試合の合間に試合場を消毒する係、大会前夜に選手村に移動して計量する係、無観客試合なのに観客席を一つひとつ消毒する係、選手席でマスクの着用を促す係、公式映像に映り込まないようにカメラマンや控え選手、コーチに注意を呼びかける係など、表には出てこないたくさんの係員が大会を支えていました。 さらに、予選ラウンドから決勝ラウンドに入る前の畳の組み替え作業(試合場2面を1面にする作業)や、その復元作業で畳を調整する係のみなさんの熟練した技術には目を見張りました。 選手は優勝すればそれが頂点ですが、われわれ運営スタッフに頂点はありません。大会運営三大原則である「最大限、選手の立場に立った運営」「最大限、観客に配慮した運営」「最大限、メディアに配慮した運営」(今回観客に配慮した運営はできませんでしたが)を目指して、次の大会に向けてさらに準備を進めていきたいと思っています。 結びに、お力添えをいただいたすべての大会関係者のみなさまに、改めて感謝を申し上げます。ご協力ありがとうございました。▲オリンピック・パラリンピックのNTO(国内競技役員)集合写真東京2020大会の裏側をクローズアップ!22まいんど vol.29

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