まいんど vol.28 | 全日本柔道連盟
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「よくかんで食べましょう」栄養&レシピ編皆さんは、しっかりとかんでゆっくりと食べるほうですか? それとも、家族に「もっとゆっくり食べなさい」と言われたり、友だちに「食べるの早いね」と驚かれたりするタイプですか? 今回は、かむことの大切さについてです。ゼミナール柔道JUDOこのコーナーでは選手、指導者を対象に、それぞれのスキルアップに役立つ話題(コンディショニング、トレーニング、栄養、心理、メディカル、コーチングなど)を紹介します。指導者のスキルアップのための上村香久子うえむら かくこ管理栄養士/調理師。全日本柔道連盟強化委員会科学研究部員、JOC強化スタッフ(情報・戦略、医・科学スタッフ)。12年ロンドン五輪では柔道女子、16年のリオデジャネイロ五輪では柔道男女の栄養サポートを行ったPROFILE焼肉と牛丼 どちらが好き?約3年前に小中学生柔道選手の指導者から聞いた話です。「選手たちが頑張っているから、焼肉を食べに連れて行ったんです。ところが、選手のお箸が進まない。あれ?と思っていたら、選手から「焼肉より牛丼を食べたい」と言われました。なぜ?と聞くと、「焼肉はかたくてかみ切れない。薄い肉の牛丼がいい」と選手は答えたそうです。私は、その話を聞いたとき、びっくりしました。まさか、子どもたちが、焼肉がかたいと話すなんて、衝撃を受けました。現代は、昔に比べると、かむ回数が減っているそうです(表1)。理由としては、加工食品が増えたり、油を含む食品が増えたりしているからです。油多く含んだ食材は、しっとり、やわらかい食感になりますので、かむ回数を減らしやすいです。一般的に「1回口に入れたら、30回かみなさい」と言われます。しかし、選手にかむ回数を聞くと、「10回もかんでないかも昔から「よくかんで食べなさい」と言われます。なぜ、よくかまないといけないのですか?よくかむと、消化吸収を助け、体づくりに必要な栄養素をしっかりとることができます。さらに、研究では、よくかんだほうが体力向上につながることも多く発表されています。QA図1 かむ回数の違いによる便にふくまれるエネルギー及び、脂質量 表1 時代別、食事の平均かむ回数 弥生時代 3990回鎌倉時代 2654回昭和初期1420回現代 620回書籍「そしゃくで健康づくり 育てようかむ力」柳沢幸江,少年写真新聞社,2011Mastication of almonds: eects of lipid bioaccessibility, appetite, and hormone response Am J Clin Nutr 2009;89:794–800. Bridget A Cassady, James H Hollisら 40まいんど vol.28

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