まいんど vol.28 | 全日本柔道連盟
22/52

直前特集東京2020パラリンピックに挑む日本代表!正木健人MASAKI Kento1987年8月9日生(33歳)兵庫県出身クラス:B22012年ロンドンパラリンピック金メダル2016年リオデジャネイロパラリンピック銅メダル男子100㎏超級―東京パラリンピック本番に向け、調整は順調ですか?「いまは、アゼルバイジャンから帰ったばかりで隔離されていますが、コロナの影響で、昨年からあまり十分な練習ができているとは言えません。昨年1月に、兵庫から練習拠点を東京にしようと埼玉に引っ越してきたんですが、その直後に緊急事態宣言が出て、練習ができない状況になってしまいました。柔道の稽古はまったくできず、ウエイトトレーニングばかりをやっていました」―練習拠点を移した直後の緊急事態宣言…、それはつらかったですね。「予期せぬことで、正直、心細かったです」―その後、練習は?「福島県の東日本国際大学に受け入れていただき、いまは、そちらに遠征する形で練習に行かせてもらっています。東日本国際大学は、重量級の選手も多いので、非常にいい練習をさせてもらっています」―パラリンピックはどんな存在?「大きな目標であり、道しるべ。パラリンピックのおかげで自分自身、成長できていると思います」―初出場2012年のロンドン大会で金メダル、2016年のリオ大会で銅メダルでした。今回の目標は?「やはり、結果にはこだわりたいです。目標はもちろん優勝。ただ、こだわり過ぎず、一戦一戦しっかりと戦う。粘り強く、執念を持って戦いたいと思っています」―視覚障がい者柔道は、しっかりと組んでから戦う柔道。母校・天理大学の柔道と通じるものがあるのでは。「たしかに、天理の柔道はしっかり組んで、『一本』を狙う柔道です。ただ、意識していることは、そういった『美学』にとらわれ過ぎないこと。相手も強いので、しっかりと組みながらも、状況に応じた試合をする。粘り強い試合をしたいと思っています。完全ではないですけど、いまは練習もできているので、不安はありません」(取材/6月1日)「コロナ禍でチーム全体を見ることができていないので、誰がどの程度仕上がっているのか、正直なところ、現時点ではわかりません。これから合宿を通して、選手のコンディションを確認していく感じです。 コロナの影響で、絶対的な練習量は減っていると思いますので、心配なのはケガ。これから7月、8月と合宿で詰めた練習をしていくことになりますが、大きなケガをしないよう、なるべく近いところにいて選手たちのお手伝いをしたいと思っています。 選手たちは、ここまで本当に一生懸命にやってきていると思います。パラリンピック本番では、雰囲気を楽しんでほしいと思いますし、可能であれば、他の競技の、いろんな障がいを持った選手との交流も楽しんでほしい。目が不自由でもできることはたくさんあるし、その不自由さに負けず努力している姿を多くの人に見てほしいと思います」(取材/6月4日)「先日の国際大会を見て、柔道の練習ができている国とそうでない国がはっきりしているという印象を受けました。イギリスやブラジル、その他いくつかの国は合宿もできている様子でした。逆にランキング上位でも負けている選手がいて、新しい選手の台頭もありました。 日本選手は、単調な動きで自滅したり、試合から離れていたことによる影響を感じました。上位に入った選手は、組み手もですが、試合の駆け引き的なところでも、非常によく相手の研究をしている。日本としても、海外有力選手の組み方やかける技などはデータ化してあるので、さらに対策を練りたいと思っています。 海外の選手の技は力まかせですが、迷いがなくて思い切りがいいのが特徴。それに対し日本人は、技術は高いのですが、かからないとすぐに諦めてしまうところがあるので、最後まで出し切ること。それを最終調整で繰り返し練習したいと思っています」(取材/6月5日)専任コーチ若林清WAKABAYASHI Kiyoshiトレーナー樋口毅史HIGUCHI Takeshi21まいんど vol.28

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る