まいんど vol.27 | 全日本柔道連盟
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 1980~1990年代、フランス男子監督として幾多の結果を残したフランスの知将、セルジュ・フェスト氏。1966年に外国チームとして初めて日本で合宿を行った選手時代の話から、コーチ論、そして後継者の育成についてなど、さまざまなお話をうかがいました。(文=ピエール・フラマン/広報委員)セルジュ・フェスト(フランス)柔道人THE柔道を愛する仲間たちフランス柔道の職人第16回1944年生まれのセルジュ・フェスト氏は、フランス柔道の先駆者の一人です。彼は最高レベルの選手として柔道のキャリアをスタートさせました(1969年のヨーロッパチャンピオンと1960年代の世界選手権で2回5位)。しかし、彼は後にフランスナショナルチーム男子の監督として結果を出したことにより、フランスでとてもよく知られようになりました。1980年代と1990年代に男子柔道チームが達成した多くの結果の重要な貢献者の一人であり、フランスで数少ない九段を持つ人物です。一見特別な人には見えませんが、フェスト氏が真のリーダーであることに疑う余地はありません。彼は金属加工職人として工場で働いていましたが、午後の柔道の練習に参加できるように早朝から一生懸命働き、勤勉、職人気質、努力のハードワークの習慣を守っていました。一方、畳の上でのフェスト氏は全力で勇敢に戦う柔道家として賞賛されています。そして彼は非常に頭脳明晰で、常に最も適切な試合の組み立てを提案しており、鋭い観察力を持っている人物です。彼は何のメモもなく、フランスの選手が試合する可能性のある対戦相手が使うすべての技を念頭に置いていました。今回は、セルジュ・フェスト氏の足跡を知るためにご本人にインタビューしました。――柔道を始めたのはいつですか?私は1955年に10歳のときに柔道を始めました。私の最初の先生は茶色の帯で、それは当時フランスでは高段者でした。 そのクラブで3年間練習した後、父が元フランス代表選手と一緒に柔道クラブを設立することを決意し、そこから私のすべてが変わりました。その元代表選手が私の先生で、彼は私に柔道を大好きにさせるこれまでとはまったく違う性質の先生でした。 彼は非常に競争力があり、私が最善を尽くすことを可能にした真の指導者でした。 10代の頃、私は大人と一緒に練習をしていました。 当時のやり方は異なる年齢層に適応しておらず、全員が一緒に練習をしていました。 大変でしたが、自分には合っていて、いつも勝ちたかったです。――あなたがヨーロッパチャンピオンになった最高の年、1969年のことについてもっと教えてください。まず、1965年にジュニアヨーロッパチャンピオンになったことは最初の成果であり、ジュニアクラスでは最高の成果でした。それは私のキャリアの最初の大きな瞬間であり、それは本気で私が柔道家として将来を考えることを可能にしました。その後、1969年にシニアのヨーロッパチャンピオンになりました。最高の年ではありましたが、世界選手権では5位に終わり、この大会で3位を逃したことには失望もしました。チームメイトと私は世界選手権でメダルを獲得する可能性がありましたが、チームはおそらくまだ成熟しておらず、メダルを獲得するのに十分な強さではなかったのだと思います。――選手としての最高の思い出は?1968年にスイスのローザンヌで行われたヨーロッパ選手権の団体戦優勝は、私たちのチームが勝てる見込みはなかったので、最高の思い出です。1962年から連続で優勝していたソ連チームと対戦し、確立されていた勝利の順序を揺るがしたのです。この試合で、私はチームのために、個人戦以上にすべてを出し切ることができました。――とくに印象に残っている現役時代の思い出はありますか?岡野功氏が、体重80㎏の身体で全日本選手権大会に勝つために見せた驚異的な試合に感銘を受けました。彼は一生懸命にものすごい量の練習を行っていました。彼はまた、天理大学での最初の合宿で私たちにとても親切で、そこでの3か月間、私たちがコミュニケーションをとることができた唯一の日本人でした。彼は、自分の練習の後に、しばしば私たちに教えに来てくれました。彼は今日でもフランスの柔道と強い関係を持っていてフランス柔道の友人です。また、1971年の西ドイツのルートヴィヒスハーフェン・アム・ライン世界選手権セルジュ・フェスト1944年、フランス出身1965年ヨーロッパジュニアチャンピオン、69年ヨーロッパチャンピオン。世界選手権では2度の5位入賞を果たす。72年に現役を引退、75年よりフランスジュニアチーム、78年よりシニアのフランスナショナルチーム男子監督を歴任。フランス男子ナショナルチームの黄金時代を築いた。その後2011年までは後進の育成に尽力している。現在は講習会等に貢献しているPROFILE20まいんど vol.27

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