平成25年全日本選抜柔道体重別選手権大会【大会レポート掲載】(13.5.16)

平成25年全日本選抜柔道体重別選手権大会 大会レポート

総評(執筆:全日本柔道連盟広報委員会 小川郷太郎委員)

(1)IJFの新しい暫定版審判規定が適用された初の全国大会であったが、変則的な組み方や防御には早めに「指導」が与えられるなど「指導」が厳しく適用された結果、過度の組み手争いは少なくなり、一本による勝敗は比較的多かった。また、主審一人が試合場に上がる新しい方式も特に問題なく実施された。審判員の多くもこの方式を肯定的に評価していた。

(2)3回までの「指導」は相手のポイントに反映されないとの新しい規定については、5分間の試合終了時点でポイントが同等の場合「指導」が少ない選手が勝者となるとのルールも併用される結果、両者にポイントが全くなくても一方が指導を一つでも受けていれば他方が勝者となる。この点に関しては、上述の通り「指導」が厳しく早めに与えられるなかで、ポイントとみなされないただ一回の「指導」で負けてしまうのは、論理的にもおかしいし、実質的にも柔道を面白くなくし、武道の勝負の本質にも悖る。この点は改善が望まれる。

(3)寝技での勝負はさほど多くなかったが、抑え込まれた者がほとんど抵抗せずに勝負が決まる場合が多かった。最近外国選手で寝技に習熟した選手が増えてきていることもあり、寝技の練習量を増やすことにより、試合で寝技の攻防が活発になることが望まれる。なお、寝技の攻防と抑え込み時間の短縮との間には密接な関係があると思われる。

(4)多くの階級で若手が積極的に攻め有力選手が敗退する例が少なくなかった。若手の台頭は頼もしい一方で、安定して勝つことのできる選手の養成・強化も望まれる。


女子(執筆:全日本柔道連盟広報委員会 小川郷太郎委員)

48kg級
予想通り浅見(コマツ)が順調に勝ったものの、山梨学院大学2年の山崎は一回戦、準決勝とも一本勝ちし、決勝でも積極的に攻めて浅見に指導が与えられるなど健闘した。

52kg級
中村美里(三井住友海上)が欠場する中で、決勝は西田(了徳寺学園職員)と橋本(コマツ)の対決となり、橋本が序盤から有利に進め西田を横四方で抑えて念願の初優勝。抑え込みに入る技術も優れていた。

57kg級
松本(フォーリーフ・ジャパン)不在のなかで、一回戦、準決勝とも僅差で勝ち上がった平井(自衛隊体育学校)が決勝で大友(コマツ)を抑え込んで優勝。前年優勝の宇高(コマツ)は、準決勝で平井とあたりGSで指導3で敗退。

63kg級
決勝は、前2試合をいずれも一本勝ちで勝ち上がった阿部(三井住友海上)と田中(了徳寺学園職員)の対決となったが、阿部が積極的に攻めて「指導」2を奪い、2年ぶりに優勝。松商学園高校2年の津金も初戦を大内刈りで一本をとり健闘。

70kg級
前年優勝の田知本遥(ALSOK)は帝京大4年の前田を攻めあぐんで初戦で敗退。決勝は僅差で勝ち上がってきたヌンイラ(環太平洋大学4年)が大住(JR東日本)に辛勝。ヌンイラは全試合を相手の「指導」で勝利。

78kg級
決勝は、昨年の覇者で本年の皇后杯でも優勝した緒方(了徳寺学園職員)と準決勝できれいな大外刈りで穴井を降して勝ち上がった佐藤(コマツ)との勝負になった。佐藤が積極的に攻めて最後は緒方を抑え込んだ。緒方は抵抗できなかった。山梨学院大学2年の西田も準決勝で緒方に対し健闘したが及ばず。

78kg超級
準決勝で田知本愛(ALSOK)を僅差で破った白石(JR東日本)が、立山(フォーリーフ・ジャパン)、朝比奈(渋谷教育学園渋谷高校2年)を降して勝ち上がった山部(ミキハウス)と決勝で対決。白石が積極的に攻めたが山部は動じず。結局ダイビングの「反則負け」を奪った白石が優勝。

男子(執筆:全日本柔道連盟広報委員会 木村広委員)

60kg級
川端(了徳寺学園職)が石川(了徳寺学園職)との同門対決となった決勝戦を大内刈り有効で制し、初優勝。優勝候補の高藤(東海大2年)は準決勝で川端の巴投げに破れた。

66kg級
60kgから階級を上げ初優勝を狙う福岡政章(ALSOK)と4連覇を狙ったロンドン五輪銅メダルの海老沼(パーク24)との決勝戦は延長戦、開始55秒で福岡の腰車が有効。GS東京優勝の森下(了徳寺学園職)は準決勝で福岡に一本負け。

73kg級
ロンドン五輪銀メダルの中矢(ALSOK)が西山(筑波大4年)との決勝戦を落ち着いて崩袈裟固で一本勝ち。連覇を飾る。GS東京で中矢に一本勝ちの大野(天理大4年)は準決勝で西山の内股に沈んだ。

81kg級
優勝候補の長島(日本中央競馬会)を合技で破って波に乗る丸山(天理大3年)が、中井(パーク24)、小原(東海大1年)をともに背負投で破った安田(天理大4年)を終始攻め、指導2で初優勝。

90kg級
全日本チャンピオン加藤(千葉県警)、吉田(旭化成)の決勝戦。開始43秒、加藤の放った背負い投げを吉田が加藤のズボンをつかんで防御。これが新ルール「帯から下への攻撃・防御の禁止」に抵触し、吉田の反則負け。
ロンドン5輪銅メダルの西山(新日鐵住金)は近藤(筑波大4年)の小外掛に背中をつき初戦敗退。

100kg級
90kg から階級を上げた小野(了徳寺学園職)が準決勝で小林(ALSOK)を払巻込、決勝で熊代(ALSOK)を腰車(技あり)で破り、史上初の3階級制覇。

100kg超級
決勝戦は前回大会と同じ七戸(九州電力)と上川(京葉ガス)の顔合わせ。お互いに技を出しあった2分過ぎ、足技で有効を奪った七戸が勢いに乗って内股からの袈裟固めで一本勝ち。連覇を飾った。本年度全日本準優勝の原沢(日本大3年)は初戦、王子谷(東海大3年)の大外刈に右肘を脱臼、棄権した。