平成18年全日本選手権大会-見どころ-
3連覇を目指す鈴木桂治(平成管財)はカイロ世界選手権以来の試合であるので、初戦の内容に注目したい。ベスト4(準決勝)までの対戦をブロックごとに考えると、鈴木の相手は130kgを超える選手が多く、巨漢を足技で揺さぶる戦いが楽し みである。順当にいけば、準々決勝で110kgながら実力のある森大助(北海道警察)が挑む。 鈴木の下のブロックは、90kg級の世界チャンピオンの泉浩(旭化成)が出場する。そのブロックには2005年講道館杯100kg 超級を制したベテランの高橋宏明(旭化成)の戦いぶりや100kg級学生チャンピオンの穴井隆将(天理大)が積極的な柔道を見せてくれることを期待する。
無差別の戦いの魅力は、体の小さい者が大きい者とどのような戦いを見せてくれるか?にあると思う。大きな相手にガッチリ組み止められる前に、足技や動きで揺さぶり相手の重心を崩して倒すことが、柔道の醍醐味である。 今回の最重量は上口孝太(警視庁)の164kg、次が佐藤充弘(日本中央競馬会)150kg、松山毅(旭化成)の148kg、高井洋平・大鋸新(旭化成)の140kgが巨漢とみていいと思う。 そして、最軽量は81kg級で世界大会の代表にもなった塘内将彦(旭化成)である。次は90kg級の世界王者泉浩(旭化成)、同じ90kgで学生の大村竜一(岡山商科大)、ベテラン松本勇治(神奈川県警)、92kgの清家仁宏(刑務官)が体重差をどのような試合運びで克服するか見ていきたい。
新旧の入れ換え時期となったのか?北海道地区と近畿地区以外に、初出場の選手がおり、四国では2名とも初の全国大会切符である。15名の初出場選手の勢いが大会を盛り上げてくれるものと期待している。 昨年最多の13回出場増地克之(桐蔭横浜大教)や昨年準優勝の村元辰寛(旭化成)が出場していないことも、新旧を感じさせる大会となるであろう。 その中で、最高齢は33歳の松本勇治で、90kgでありながら頑張っている。最年少の石井慧の19歳に続き穴井隆将、大村竜一西山将士(国士舘大)と学生が4人出場する。 今回の最高出場回数は、8回で棟田康幸と生田秀和の2人であった。次が高橋宏明の7回である。25歳の棟田が大会出場回数においては、ベテランと呼ばれるのであることは意外性を感じている。是非、海外遠征,全日本選抜と好調を続けているので、初制覇をして欲しいと感じた。
先日、「世界の誤審〜オリンピックからW杯まで〜」(著者・生島淳,光文社新書)を読んだ。その中で、全日本柔道選手権は、審判員のジャッジメント技量は、たぶん世界のどの柔道大会よりも高いものと思われる。と書かれていた。その高さは、柔道を経験した者が審判員となっている制度であり、柔道を知っている者がジャッジしている。それだけではなく、それを支えているのは観客の目だと言っている。観客は柔道経験者が多く、柔道に対する目(ジャッジ)が肥えているので、その期待に応えるためには質の高い審判員が求められる。 まさに、相乗効果といえる。ジャッジに対する目が、世界最高の観客と認めていただいているのであれば、会場でのマナーも最高でありたいと思う。柔道の原点である、柔道を通した人づくりを大事にする精神を、観客の一人ひとりが実践者として大会を盛り上げて欲しいと期待している。