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第29回全日本女子選抜体重別選手権大会-各階級の寸評-

 第29回全日本女子選抜体重別選手権大会が横浜市中区の横浜文化体育館で開催された。一昨年のアテネ五輪での日本女子の金メダル5個の好成績はすでに昔日のものとなり、昨年のカイロ世界選手権では金メダル1個という厳しい現実を突きつけられた。本年は9月に世界国別団体選手権(ワールドカップ)を控えるものの、世界選手権と五輪はない、いわば谷間の年である。ベテランの復活なるか、あるいはこのまま世代交代となるのか、はたまたその間隙をついて新星の登場か、07世界選手権、08北京五輪に向けての試金石として大いに期待された。

48kg級
『山岸絵美 初優勝! 10代の2強が谷亮子を追う!』

 中村美里(渋谷教育学園高2年)の小外掛に合わせ、狙いすましたように体を反転させての『大外刈』、最後は体落のような姿勢で投げきり2分09秒「一本」勝ち。19歳の山岸絵美(三井住友海上)が北京候補に名乗りをあげた。
 山岸は、準決勝で北田佳世を『肩車』で「効果」を奪い退け、中村は切れのよい足技が冴え2試合とも「一本」勝ちで決勝に駒を進めた。この2人が、谷亮子(トヨタ自動車)に挑戦する試合が楽しみとなった。
52kg級
『宝が3ぶり2度目のV』

 決勝は05カイロ世界銀の横澤由貴(三井住友海上)と昨年の本大会2位の宝寿栄(コマツ)の顔合わせとなった。横澤は左一本背負投、宝は左袖釣込腰、右一本背負投で攻めるが共に決め手を欠き、中盤両者に「指導」が与えられた直後、宝が谷落で「効果」を奪い、そのまま逃げ切った。
横澤は初戦から精彩を欠いていた。ゴールデンスコア(GS)指導1で辛勝。準決勝でも上背で9B勝る岡崎綾子(創電社)に苦戦、GS残り56秒で一本背負投「効果」でなんとか振り切った。
対する宝は、組み合わせの運にも恵まれた。05福岡国際優勝、そして今春のドイツ国際を制した西田優香(淑徳大)が左肘靱帯損傷で欠場、更に代替選手も欠場で初戦は不戦勝。準決勝では垣田恵利(武庫川女子短大)を背負投「技あり」、そして朽木倒しで一本勝ち。
決勝までの2戦で要した時間は横澤の16分49秒に対し、宝はわずか56秒。消耗戦を経た横澤と運も味方にし勢い付いた宝、その差がそのまま勝敗に結びついたか。

57kg級
『好調の佐藤を逆転の十字固! 岩藤が2度目の栄冠』

 準決勝で宮本樹理(了徳寺学園職)から、『隅落』で「有効」勝ちをした岩藤理恵(三井住友海上)は、自然に体が動いていた。決勝も、1分31秒に佐藤愛子(了徳寺学園)が先に『大内刈』で「効果」、中盤に入っても流れは佐藤ペースと思われた中で、寝技の得意な佐藤が上から攻めていた一瞬、下から左腕を取って体を反転させて『腕挫十字固』をきめた。2分35秒、佐藤の『まいった』で「一本」となった。
 佐藤は、1回戦2回戦とも「一本」は取れなかったが、体が良く動き積極的な試合をしていただけに、悔しい思いをした。
63kg級
『谷本、電光石火の技で3度目のV』

決勝へは05カイロ世界銀の谷本歩実(コマツ)が順調にコマを進め、挑戦者には05全日本学生優勝の平井希(東海大)が名乗りを挙げた。
谷本は初戦を小外掛、準決勝では大外返といずれも相手の動きに合わせて、キレ味鋭い技で一蹴した。平井は準決勝で上野順恵(三井住友海上)と対戦、共にポイント無くGS残り21秒で平井が朽木倒しで「効果」を奪った。上野は初戦に続きポイントをあげることが出来ずに畳を去った。
決勝戦、谷本は19歳の平井に対し、落ち着いて試合を運び、内股「効果」、そして外巻込「技あり」から崩上四方固に連絡して3連続一本勝ち。この階級の第一人者の貫禄を見せつけ、2年ぶり3度目の頂点に立った。
谷本は「課題は多く残ったが、そのなかでも一本を取る柔道ができた。アテネ五輪後、研究され、またモチベーションの維持も難しかった」と安堵の表情で語った。

70kg級
 『圧巻!オール「一本」勝ちで2連覇! 上野(雅)5度目の優勝』

 鬼神が宿ったような強さだった。決勝の岡明日香(コマツ)を、小外掛で牽制し自分の組み手になると、すかさず1分07秒に『内股』で「有効」を奪い、最後も引手をしっかり取った瞬間に、2分11秒『大外刈』を決めて「一本」。1回戦が1分08秒『内股』2回戦が37秒『大外車』と強い上野雅恵(三井住友海上)が帰ってきた。
 組み手の強さ、積極的に足技で崩して相手を仕留める柔道は、以前の『大内刈』を得意としていたスタイルより、力強さを感じた。一方の岡は、準決勝で國原頼子(淑徳大3年)を逆転の『袖釣込腰』で破り勢いがあったが、まだ上野との差はあるように思う。
78kg級
『中澤Vも組み手に課題を残す』

 決勝は大方の予想通り、05カイロ世界銀の中澤さえ(綜合警備保障)と05福岡国際優勝の堀江久美子(兵庫県警)の対戦となった。
 中澤は初戦、左組の相手に思うように組めず、指導1で辛勝。準決勝では松崎みずほ(コマツ)を小外掛「技あり」で降し、ようやくエンジンがかかった。
 一方の堀江は初戦GSを内股、準決勝では袈裟固の連続一本勝ちで中澤への挑戦権を手にした。
 決勝戦、中沢は右と堀江は左のけんか四つの組み手で共に技が出ない。両者へ指導2が与えられたのみで決着はGSへ。開始早々、中沢は堀江の動きに合わせてタイミングよく小外掛に入り、そのまま押し倒し「効果」。2連覇達成。
 中澤は「スタミナがなくて‥」と反省の弁。

78kg超級
 『若手の追随ゆるさず! 塚田が貫祿の4連覇』

 残り1分が合図のように、塚田真希(綜合警備保障)の動きが変わった。激しく攻めたてて、立山真衣(東海大2年)に技を出させず、残り48秒で「指導」を奪うと、そのまま攻め続けて、勝利のブザーを聞いた。貫祿の勝利だった。薪谷翠(ミキハウス)が、左大腿部(下部)筋挫傷で欠場となり、塚田は若手の挑戦を受ける形となったが、立山が大学の後輩で互いに手の内が知れていたのか、塚田は自分のペースでありながらも、鋭い技の仕掛けがなかったのは残念だった。一方の立山も1回戦の白石のどか(日大1年)を『内股』で有効をとり、最後は『小外掛』「一本」でしとめると、2回戦も「一本」勝ちと好調であったが、塚田に対して攻める術がなかった。
 塚田は、相手の頭を押さえて自分のぺースで試合を進めたが、足技での揺さぶりが少ない。このスタイルでは、自分より大きな相手では苦戦すると思われる。世界を舞台に戦うためにも、新しいスタイルに挑戦してこの階級をリードして欲しい。
               
文 全日本柔道連盟 広報委員 三浦 登、渡邉昌史
写真協力 ウメダフォトスタジオ ・ 03-3234-0275
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