|
Q.予防はどのようにすれば良いですか?
T.tonsurans菌の感染経路は、そのほとんどが、体が触れることによるとされていますが、その他には、衣類やタオル、寝具類を共有することからの感染も考えられます。集団感染を阻止するには、自分の身体や道場、部屋などをいつも清潔に保ちましょう。
- 練習直後にシャワーや入浴をし、できるだけ早く頭や身体を石鹸で洗いましょう。他の白癬菌に比べても、T.tonsurans菌の体内への侵入速度は速く、傷口からだと、通常の約2倍の速さで侵入します。
- シャワー施設のない場合は、水道の蛇口を利用して頭を洗浄し、濡れたタオルで身体を清潔にして下さい。
- 柔道着はよく洗濯しましょう。柔道着には菌が付着してしまいます。
- 練習前後には道場をよく掃除しましょう。菌は抜け毛やアカのなかで半年間も生存します。電気掃除機の使用を勧めます。自分の部屋も清潔にしましょう。
- 部員同士で帽子やシャツ、タオルなどの貸し借り(共用)は、やめましょう。
- 部員内、家族内に症状のある人がいたら、早めに治療するように勧めましょう。
- 練習前後に友人同士でボディチェックをし、皮疹のある者は休ませましょう。
指導者の方々へ・・・
T.tonsurans感染症が国内の柔道競技選手に流行し始めてから約5年、当初はマスコミも取り上げて大騒ぎとなりましたが、治療と予防をしっかりとやれば、怖い病気ではないことが理解されてきました。
ところが、治療の際に問題が起こっています。本感染症の治療にあたった医師が患者にしばらく通院するよう言っても、「監督に聞いてから・・・」と答え、結局来ないケースが非常に多いそうです。指導者に問い合わせると、「試合が近いから暇がない・・・。」「うちのチームだけ治療してもしょうがない・・・。」などと通院や治療に消極的な答えが返ってくることが多いそうです。
全国の指導者の方々、どうか、撲滅に向けた「前向きの姿勢」を切にお願いします。指導者の方々が本感染症について、共通の見解を持たない限り、本感染症の撲滅への道はありません。柔道の試合や練習が本症の感染拡大を助長させていることも明らかであり、柔道界は自分たちでT.tonsurans感染症に立ち向かう責任があると思います。
文/廣瀬伸良<全柔連医科学委員会特別委員・順天堂大学助教授>
|