September 21, 2017
平成21年度 事業報告 概要

平成21年度も、柔道の普及振興に努め、それによって国民の心身の健全な発達と豊かな人間性の涵養に寄与するため、各委員会を中心として、様々な事業を積極的に展開した。  当年度は、8月にオランダ・ロッテルダムで世界柔道選手権大会が開催され、国民の期待に応えるため、より多くの金メダル獲得を目指して選手強化に取り組んだ結果、金メダル3個、銀メダル1個、銅メダル3個という成績であった。男子は「金メダル無し」という厳しい結果となったが、今回の結果を真摯に受け止め、ロンドンオリンピックに向けて、コーチ・選手ともに、危機感を持ち、常に「金メダルを獲る」という強い意識のもとに「技を掛けきる柔道」「一本を取る柔道」を目指して、これまで以上の選手強化を行った。また、次世代を担うジュニア選手の育成にも大きく力を入れて事業を実施した。

登録人口は、残念ながら19万人を下回る結果となった。一方、「法人会員」登録は、8年連続で、全国で200団体を超えた。登録人口の拡大に向けた取り組みとしては、幅広い層の会員登録の促進を図るため、「登録制度」の見直し、「生涯スポーツ」としての柔道の奨励、登録管理システムの効率化などについて検討し、全国各地区において「女性登録推進」活動を積極的に実施した。

財政面の収支については、収入の確保および支出の管理に努めた結果、当期収支差額は予算額27,286,370円に対し、決算額44,069,688円となった。今後とも適正な経理処理および情報開示を行い、公益法人としての適正な財務管理に努めていく。

新公益法人制度への対応としては、平成23年度を目途に「公益財団法人」への移行認定申請を行うことを決定し、専門のワーキング・グループを立ち上げて、内部機関の変更を主とした定款変更案の立案、及び公益認定要件を満たすための財務面の整備等について検討した。
事業面では、将来を見据えた青少年の育成を重要な課題と位置づけ、全国各地で「少年競技者育成事業」、「柔道教室」、「柔道フェスタ」等を開催し、事故防止対策として「柔道の安全指導」講習会を実施した。また、講道館との合同事業である柔道ルネッサンス活動を継続的に推進していくなど幅広く柔道の普及・振興に取り組み、底辺の拡充に努めた。

スタートして2年目となる「指導者養成プロジェクト」においては、強化、女性、少年の各分野において全国規模の指導者講習会を実施し、長期的視野に基づいた指導者養成システムの構築について具体的な検討を行った。また、平成24年度から完全実施される「中学校武道必修化」に向けては専門の対策チームを立ち上げ、学校教員のための教本・DVDの作成、及び講習会・研修会モデル並びに人材バンクシステムの構築について検討を行った。
審判事業においては、Sライセンス審判員の審査をはじめ、Aライセンス審判員試験、審判研修会等を幅広く実施し、審判員の養成・技能向上に努める一方、主要な全国大会に審判委員を配置し、大会の円滑な試合進行に努めた。

大会関係では、12月に開催されたグランドスラム東京大会をはじめ、国内各地で開催された全国大会の運営の充実を図り、各大会を成功に導いた。

国際関係では、主要国際大会や会議等に出席する日本代表役員の活動支援を行う中で、柔道の根幹にかかわる審判問題等で日本の主張を反映させた。岡田弘隆氏がIJFアスリート委員長に当選、細川伸二氏がIJFグランドマスターズ委員に就任した。指導者の派遣や海外チームの受入等を積極的に実施し、柔道を通じての国際交流の促進および国際貢献を行った。IJF主催グランドスラム東京の渉外業務を円滑に遂行し、大会成功の一翼を担った。

世界柔道選手権2010東京大会に向けては、52年振りとなる東京における大会の成功に向けて、大会事務局を立ち上げ、大会運営に向けた具体的な準備を開始した。各事業の概況は以下のとおり(詳細は別紙事業報告書参照)。

     

  1. 総務関係事業
    登録人口拡大策として、女性指導者の登録増進に向けて、全国的規模の「女性指導者セミナー」、全国各地区での「女性登録推進会議」を開催し、各都道府県における女性指導者の登録促進策を検討するとともに、「女性登録推進委員会」の設置を依頼した。また、小学1年生からの「顔写真付きプラスチック製登録カード」の無償配付、及び昇段時の登録「遡及」年数の一律化について立案し、理事会・評議員会に提案した。さらに、中・高年齢層のための「生涯スポーツ」としての柔道の振興・普及策について検討した。
    登録規程に関しては、幅広い層の会員登録の促進を図るため、「登録制度」の全体的な見直しについて検討した。また、プロの格闘技系競技活動を終了した者が指導者登録しようとする場合の「経過期間」を短縮する改正案を、理事会および評議員会に提案した。
    「全柔連障害補償・見舞金」制度においては、柔道現場における事故防止の対応策の徹底を図るため、小冊子「柔道の安全指導」の改訂版を発行し、「安全指導」講習会を全国20ヶ所で開催した。また、事故発生の実態を踏まえて、事故防止対策と「安全指導」講習会実施の方針を策定し、各都道府県に「事故防止担当者」又は「事故防止委員会」の設置を依頼した。
  2.  

  3. 大会関係事業
    12月に東京で開催されたIJF主催によるグランドスラム東京大会をはじめ、本連盟が主催する国際大会・全国大会に委員を派遣し、各大会を成功に導いた。なお、各県を持ち回りで開催する国民体育大会などでは、全柔連大会運営規程に則った指導を行い、国内における大会運営の統一化を図った。
    世界柔道選手権2010年東京大会に向けては、委員をロッテルダム世界柔道選手権大会に視察派遣し、競技運営の準備作業を進めた。
  4.  

  5. 広報関係事業
    「全柔連公式ウェブサイト(ホームページ)」における、情報の多様化、速報性の向上を図り、掲載内容の充実に努めた。
    広報機関誌「全柔連だより」第36号、37号、38号を発行し、都道府県柔道連盟(協会)などを通して配布した他、各主要大会会場にも置き、関係者等に配布した。また、年次報告書「柔道年鑑 平成20年度」版を発行した。
    「柔道フェスタ」は、強化委員会および開催県と協力して、全国5ブロックで一斉に開催し、小学生への柔道の普及・振興に努めた。
    主要大会における報道対応として、大会資料・試合記録の配布やインタビュー・会見等のプレスサービスを行うなどの広報活動を行った。
  6.  

  7. 教育普及関係事業
    指導者の資質向上と資格付与を目的とした「日本体育協会公認コーチ養成講習会」を実施した。
    普及事業として、全国9ヶ所で柔道教室を開催し、小・中学生、高校生への技術指導に加え、指導者、保護者等への講習を行うとともに、日本武道館と共催の地域社会武道指導者研修会や全国少年競技者育成事業等に講師を派遣し、地域における柔道の普及・振興に努めた。また本年度も引き続き、視覚障害者による強化合宿への支援を行った。
  8.  

  9. 審判関係事業
    Aライセンス審判員試験を全国6箇所で実施したのをはじめ、Sライセンス審判員の審査や顧問審判員の審査を行うなど、審判員の養成に努めた。
    Aライセンス研修会をはじめとする12の講習会に本委員会から講師を派遣して、審判員の技能向上に努めた。
    大会においては、全国大会の審判員を選考し、また、円滑な試合進行等を目的とした審判委員を配置し、大会の充実を図った。
    IJF・JUA公式大会をはじめとする主要国際大会に審判員を派遣し、また、IJF審判員試験に計4名を派遣し、国際審判員の養成に努めた。
  10.  

  11. 選手強化関係事業
    2012年のロンドンオリンピックへ向けた強化を本格的にスタートさせ、8月にオランダ・ロッテルダムで開催された世界選手権大会ではメダルは獲得したものの、男子で初めて「金メダル無し」という結果に終わった。この結果を真摯に受け止め、強化方法の修正を行い、12月のグランドスラム東京大会、1月のワールドマスターズ・スウォンでの成績は盛り返すことができた。
    2009年1月以降の国際柔道連盟(IJF)によるルール改正へも迅速に対応し、ナショナルチーム強化選手のIJFランキング・ポイント獲得を重視した大会派遣を行なった。
    シニア強化、ジュニア強化においては国内合宿を中心に、将来ナショナルチームで戦えることを目指して基礎体力の向上、組み手の多様化、得意技の充実、攻撃パターンの拡充を図った。その結果、世界ジュニア柔道選手権大会、世界カデ柔道選手権大会では、好成績を残すことができた。
    今年度も全国5カ所において中学生を対象にジュニアブロック合宿を実施し、技術、体力面の強化だけでなく、アンチ・ドーピング、栄養、傷害予防等についても講義指導を行った。
  12.  

  13. 国際関係事業
    IJFにおける新たな大会開催、世界ランキング制度の導入、審判規定の変更など、急速かつ大きな変化を見据え、IJFやJUA日本代表役員の活動支援を行う中で、柔道の根幹にかかわる審判規定の改正や3人制審判員制度の堅持等、日本の主張を反映させた。IJFアスリート委員選挙に当選した岡田弘隆氏が委員長選挙でも当選を果たし、委員長としてIJF理事会に選手やコーチの意見を反映させる機会を設けることができた。新設のIJFグランドマスターズ委員に細川伸二氏が就任し、IJFの場で生涯柔道の普及、発展に関わっていくことになった。JUAにおいては、審判セミナーを通じて審判員の質の向上に寄与した。
    また、数多くの海外チームの受入や海外への指導者や使節団の派遣、2016年東京五輪招致活動への協力、強化選手の派遣しない大会への参加促進等を実施するなど、柔道を通じての国際交流の促進および国際貢献を行った。
    IJF主催で開催されたグランドスラム東京大会では渉外部門の業務を円滑に行い、大会成功の一翼を担った。
  14.  

  15. 医科学関係事業
    国内大会における救護活動に資するため、年間を通して多数のドクターを派遣した。
    強化関係事業に対しては、8月のロッテルダム世界柔道選手権大会をはじめとする国際大会、国内強化合宿などにドクターを帯同させた他、トレーナーや栄養士をはじめとするサポートスタッフと協力して選手のコンディショニングに対するサポート等を行った。
    12月に開催されたグランドスラム東京大会の時期に合わせて柔道医科学シンポジウムを開催した。
    全国に感染の拡大が見られる皮膚真菌症の撲滅に向けて、引き続き、講習等による啓発活動を行った。また、柔道における傷害事故に関し、今後の予防や治療に役立てるための研究を行った。
  16.  

  17. 特別事業
    (1)柔道ルネッサンス関係事業 柔道ルネッサンスの趣旨である、柔道を通じた「人間教育」の啓発・推進のため、「環境保護」をテーマとしたポスターカレンダー、少年少女柔道手帳、柔道ルネッサンス・スピーチ集を作成・発行するなどの事業を行った。特に都道府県における活動推進に力を入れるため、指導者養成プロジェクトとの協力により、平成22年度事業として「柔道ルネッサンス・フォーラム」の企画・立案を行った。

    (2)指導者養成プロジェクト 開始2年目となる当年度は、初年度の指導対象別の検討結果を受けて、「強化」、「女性」、「少年」の各分野において全国規模の指導者講習会を各々実施し、指導者資格付与も視野に入れ、長期的展望に基づいた指導者養成システムの構築について具体的な検討を行った。
    「中学校武道必修化」については、専門の対策チームを立ち上げ、「基本を重視した、柔道の安全かつ興味の持てる授業法の確立」を方針として、教本・DVDの作成、講習会・研修会の実施、人材バンク制度の立ち上げを柱とし、それぞれのグループで具体的な検討を行った。

    (3)少年競技者育成事業 当年度も10ブロックにおいて、将来有望な競技者の発掘、育成を目的に、小・中学生を対象とした強化選手を指名し、合宿を実施した。
    本事業で育成された選手の中から、各種大会で好成績を出す選手が輩出されてきている。更に、技術だけにとらわれず、合宿を通して生活面や団体行動における規律やマナーなども重視した指導を行うなど、人間教育についても取り組んだ。

    (4)アンチ・ドーピング関係事業 当年度も、競技大会時のドーピング検査を、本委員会ドーピング・コントロール部会のメンバーによって実施した。
    啓発活動として、全国5カ所で行っているジュニアブロック合宿の際、ドーピング・コントロール部会のメンバーを派遣し、アンチ・ドーピング講義を行った他、合宿、国際大会にドクターが帯同した際には、随時、強化選手への啓発を行った。

    (5)「形」競技関係事業 11月にマルタで行われたIJF主催の第1回世界「形」選手権大会に向けて、日本代表選手の強化・育成に取り組んだ結果、全5種目での優勝を果たした。

  18.  

以上